◆JR岩泉線(岩手県)◆
※2014(平成26)年4月1日に全線廃止。

◆2008年10月12日(日)、17日(金)、2012年7月28日(土)撮影

キハ110系(岩泉線 茂市=岩泉)
(2009年7月11日(土)浅内駅にて撮影)
鉄道路線巡礼の旅第一弾として、2008年に初めて行った記念すべき路線。岩泉線と言えば、全国屈指の「秘境駅」である押角駅をはじめ、1日の列車本数が通しで3往復というやる気のなさ満点の究極のローカル線といえる路線。このように採算を最初から無視している路線ですが、鉄道を廃止してバスに転換させようにも、並行して走る国道340号線が押角峠付近でいわゆる「酷道」状態でバスを通すことが出来ないので、鉄道営業を廃止できないと言われる。逆に言うと道路さえ整備できれば廃止される路線で、JRは間違いなく廃止する気満々である。でも、こういった寂れたローカル路線はマニア垂涎の的でもあるので何とも複雑。

茂市駅にあるゼロキロ標
(2012年8月17日(金)撮影)

(概要)
 1日の列車本数が全線通しが3往復と区間運転1往復、鉄道統計年報平成15年度版によると輸送密度は85人でJR路線で最も小さいというローカル線である。

 特定地方交通線第2次廃止対象線区に選ばれていたが、並行する国道340号押角峠が急峻かつ幅員狭小でバスなどの大型車が通れないため、代替道路未整備を理由に廃止対象から除外されている。
 この路線の建設計画は古く、1922(大正11)年4月11日公布の改正鉄道敷設法別表第8号に規定する予定線で、東北本線(現在のいわて銀河鉄道線)の小鳥谷から小本街道沿いに三陸海岸沿いの袰野(ほろの。岩泉町の字名で岩泉=小本間に位置する。そこで接続するはずであった同第6号の予定線(現在の三陸鉄道北リアス線)は、トンネルでショートカットしたため袰野を通過しなかった)に至る鉄道と落合付近(岩泉町の字名で浅内=二升石間に位置する)から分岐して茂市で山田線に接続する鉄道の一部である(左図参照)。
 しばらくは放置された格好だったが、日中戦争の泥沼化や太平洋戦争勃発による総力戦体制が敷かれ、沿線から産出する鉱物資源の開発の必要性が出てきたため、茂市から岩泉町を通って小本に至るルートに計画が変わり、1942(昭和17)年に茂市=岩手和井内間が小本線(おもとせん)として開業した。この線名は計画当初の終点からとったものだったが、鉄道建設は順次進められたものの1972(昭和47)年の岩泉でとまって工事は「休止」となり、小本線も岩泉線と改名された。

駅名 駅間
営業
キロ
累計
営業
キロ
所在地 開業年月日
(漢字表記) (よみ)
茂市駅 もいち - 0.0

宮古市 1934(昭和9)年11月6日
※山田線の駅として
岩手刈屋駅 いわてかりや 4.3 4.3 1942(昭和17)年6月25日
中里駅 なかさと 2.9 7.2 1966(昭和41)年10月1日
岩手和井内駅 いわてわいない 2.8 10.0 1942(昭和17)年6月25日
押角駅 おしかど 5.8 15.8 1944(昭和19)年7月20日
宇津野駅(廃止) うつの 4.5 20.3 下閉伊郡
岩泉町
開業:1947(昭和22)年11月25日
廃止:1957(昭和32)年5月16日
岩手大川駅 いわておおかわ 5.5 25.8 1957(昭和32)年5月16日
コンクリート製橋梁
浅内駅 あさない 5.2 31.0 1957(昭和32)年5月16日
二升石駅 にしょういし 2.8 33.8 1972(昭和47)年2月6日
岩泉駅 いわいずみ 4.6 38.4 1972(昭和47)年2月6日

歴史
1942(昭和17)年6月25日 【開業】小本線 茂市〜岩手和井内 (10.0 km) 【駅新設】岩手刈屋、岩手和井内
1944(昭和19)年7月20日 【延伸開業】岩手和井内〜押角(5.8 km、貨物営業のみ)【駅新設】(貨)押角
1947(昭和22)年11月25日 【延伸開業】押角〜宇津野 (4.5 km) 【旅客営業開始】岩手和井内〜押角 【駅新設】宇津野 【貨物駅 → 一般駅】押角
1948(昭和23)年11月26日 【災害不通】全線(風水害による)
1949(昭和24)年3月5日 【営業再開】全線(復旧)
1957(昭和32)年5月16日 【延伸開業】宇津野〜浅内 (10.9 km) 【駅新設】岩手大川、浅内 【駅廃止】宇津野
1966(昭和41)年10月1日 【駅新設】中里
1972(昭和47)年2月6日 【延伸開業】浅内〜岩泉(7.4 km、旅客営業のみ) 【駅新設】二升石、岩泉 【改キロ】岩手大川〜浅内 (-0.2km) 【線名改称】岩泉線
1982(昭和57)年11月15日 【貨物営業廃止】茂市〜浅内
1984(昭和59)年6月22日 運輸大臣が廃止承認を保留
1985(昭和60)年8月2日 代替道路未整備を理由に廃止対象から除外
1986(昭和61)年3月3日 岩手和井内・浅内駅無人化に伴い、茂市〜岩泉間一閉塞化(スタフ閉塞化)
1987(昭和62)年4月1日 【承継】東日本旅客鉄道
2003(平成15)年10月11日 快速「キハ52・58岩泉号」が運転され多くの乗客が岩泉線に足を運ぶ(13日まで)
2008(平成20)年7月24日 【災害不通】全線(岩手県沿岸北部地震による)
2008(平成20)年7月25日 【営業再開】全線(復旧)
2010(平成22)年7月31日 【災害不通】全線(土砂崩れによる列車脱線事故による)
2010(平成22)年8月2日 【代行輸送開始】全線(16日まで押角駅・二升石駅は通過)
2011(平成23)年3月11日 東北地方太平洋沖地震の影響により、代行輸送を休止
2011(平成23)年3月20日 代行輸送を再開
2012(平成24)年3月30日 JR東日本が鉄道路線を廃止し、バス輸送へ転換する方針を発表
2013(平成25)年9月5日 JR東日本が路線廃止を正式に沿線自治体に伝達
2013(平成25)年11月7日 路線廃止でJR東日本と沿線自治体が合意
2013(平成25)年11月8日 JR東日本が廃止届を提出
2014(平成26)年1月8日 廃止日繰り上げ届出
2014(平成26)年4月1日 【廃止】全線

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