◆JR山田線(岩手県)◆

◆2008年10月4日(土)、2008年10月12日(日)、2009年7月11日(土)、2012年7月28日(土)、2012年8月17日(金)、2016年11月6日(日)撮影

キハ110系(山田線 盛岡~宮古~釜石)
(2010年1月24日平津戸~箱石間にて撮影、背後の滝は大峠ダム)


盛岡駅の北側にある跨線橋から撮影した、田沢湖線(左)、IGRいわて銀河鉄道線(旧東北本線)(中央)、山田線(右)の分岐点。(2015年3月29日(日)撮影)
鉄道路線各駅巡礼の旅第2弾の路線。正直、山田線は盛岡~宮古間だけだと思っていたのは、今ではいい思い出(笑)。
この路線も「大志田駅」や「浅岸駅」といった秘境駅を有する、なかなか手強いローカル路線。
盛岡~宮古間の営業本数は通しで上り4本、下り4本と岩泉線と同じくやる気無し。現在では並行する国道106号線を1時間に1本以上走る高速バス(106特急)に太刀打ちできず、主導権は完全に取られている。

釜石駅ホームより釜石線と山田線の分岐点を望遠撮影。
写真中央の並走している線路の左側の一段下がって曲がっているのが釜石線で、右側の上がって曲がっているのが山田線(現在の三陸鉄道リアス線)。
(2017年5月20日(土)撮影)

左のホームと反対側から撮影。
左に上がっているのが山田線(現在の三陸鉄道リアス線)で、左に下がっているのが釜石線。
(2017年5月20日(土)撮影)

宮古駅の東側より撮影。
手前左が三陸鉄道リアス線で、奥右が山田線。
(2019年7月13日(土)撮影)
(概要)
 山田線(やまだせん)は、岩手県盛岡市にある盛岡駅から同県宮古市の宮古駅を経由し同県釜石市にある釜石駅までを結ぶ全長157.5km(JR営業キロ換算)のJR東日本の路線(地方交通線)である。盛岡~宮古間は閉伊街道沿い(現国道106号線)を走る山岳区間、宮古~釜石の区間は三陸海岸沿いを走り、気仙沼線・大船渡線・三陸鉄道などとともに三陸縦貫線を構成する。釜石線営業所の管轄下である浪板海岸駅から釜石駅までの各駅には、釜石線同様エスペラントによる別名が付けられている。

(歴史)
 盛岡~陸中山田間は、盛岡と三陸地方を結ぶ鉄道として、1892(明治25)年公布の鉄道敷設法にすでに規定されていた区間である。測量調査が行われたものの、盛岡~宮古間で標高1,000mを超す北上山地(区界峠751m)を越えるため、予定線の検討は行われたが、建設は具体化しないままとなっていた。地元岩手県出身の原敬が首相となった1920年に至って漸く建設が決定され、1923(大正2)年から1935(昭和10)年にかけて開業した。

 陸中山田以南の区間は、改正鉄道敷設法別表第7号に規定する「岩手県山田ヨリ釜石ヲ経テ大船渡ニ至ル鉄道」の一部で、三陸縦貫線を構成する予定線であったが、釜石までの区間は、前述の区間に引き続いて戦前の1939(昭和14)年までに開業したものの、釜石以南については戦後の建設、開業となり、現在三陸鉄道南リアス線となっている。

 盛岡~宮古間は大部分の区間が人口希薄な山岳地帯である。この路線を敷設するかどうかを帝国議会で審議した際、野党憲政会は猛烈に反対し、同党議員は「こんな所に鉄道を敷いて、首相は山猿でも乗せるつもりか」と当時の首相の原敬を非難した。これに対し原は「鉄道規則を読んでいただければわかりますが、猿は乗せないことになっております」と、平然と答弁した記録が残されている。

 だが実際には開業後、盛岡~宮古間は満員で座ることができず、立ち通しのことも少なくなかったという。もともと、この区間には1906(明治39)年から乗合馬車の運行が行われ、1913(大正2)年には岩手県では初となる路線バスの運行も開始されており、鉄道開業前から一定の流動は存在した。1950(昭和25)年の釜石線全通以前、山田線は岩手県北部における唯一の海岸部と内陸の直通路線であり、特に1939(昭和14)年の全通後は戦時体制を背景に、釜石製鐵所や釜石鉱山を擁した釜石と東北線とを直接連絡する鉄道ルートとして、日夜を通しての貨物輸送に貢献した。

 太平洋戦争後の1946(昭和21)年11月、山田線は風水害により平津戸~蟇目間が長期運休となった。全線復旧に1954(昭和29)年までの8年間を要した大災害であり、その代替としてGHQの指示により釜石線の改築・全通が促進された。釜石線全通に伴い、釜石から内陸への貨物輸送メインルートは同線に移り、山田線の相対的地位は低下することになった。なお、この災害に際し沿岸側に取り残された機関車を搬出するため、青函連絡船を宮古港に回漕して船積みすることで対処したエピソードがある。
駅名 駅間
営業
キロ
累計
営業
キロ
所在地 開業年月日 エスペラントによる
愛称と意味
(漢字表記) (よみ)
盛岡 もりおか - 0.0 盛岡市 1890(明治23)年11月1日
※東北本線の駅として
上盛岡 かみもりおか 2.8 2.8 1923(大正12)年10月10日
 上盛岡駅引込線跡
山岸 やまぎし 2.1 4.9 1952(昭和27)年2月10日
上米内 かみよない 5.0 9.9 1923(大正12)年10月10日
大志田
(廃止)
おおしだ 9.8 19.2 1928(昭和3)年9月25日
廃止:2016(平成28)年3月26日
浅岸
(廃止)
あさぎし 8.4 27.6 1928(昭和3)年9月25日
廃止:2016(平成28)年3月26日
区界 くざかい 8.0 35.6 下閉伊郡
川井村
(現:宮古市)
1928(昭和3)年9月25日
松草 まつくさ 8.0 43.6 1930(昭和5)年10月31日
 土砂流入現場(2015年12月11日発生)
平津戸
(廃止)
ひらつと 8.6 52.2 1931(昭和6)年10月31日
川内 かわうち 9.3 61.5 1933(昭和8)年11月30日
箱石 はこいし 4.2 65.7 1933(昭和8)年11月30日
陸中川井 りくちゅうかわい 7.8 73.5 1933(昭和8)年11月30日
腹帯 はらたい 9.1 82.6 宮古市 1934(昭和9)年11月6日
茂市 もいち 4.4 87.0 1934(昭和9)年11月6日
蟇目 ひきめ 4.5 91.5 1934(昭和9)年11月6日
花原市 けばらいち 2.7 94.2 1961(昭和36)年12月20日
千徳 せんとく 4.6 98.8 1934(昭和9)年11月6日
宮古 みやこ 3.3 102.1 1934(昭和9)年11月6日
宮古~釜石間
宮古 みやこ - 102.1 宮古市 1934(昭和9)年11月6日
磯鶏 そけい 2.0 104.1 1935(昭和10)年11月17日
津軽石 つがるいし 7.2 111.3 1935(昭和10)年11月17日
豊間根 とよまね 6.2 117.5 下閉伊郡
山田町
1935(昭和10)年11月17日
陸中山田 りくちゅうやまだ 11.1 128.6 1935(昭和10)年11月17日
織笠 おりかさ 2.2 130.8 1936(昭和11)年11月10日
岩手船越 いわてふなこし 2.8 133.6 1936(昭和11)年11月10日
浪板海岸 なみいたかいがん 6.4 140.0 上閉伊郡
大槌町
1961(昭和36)年12月20日 Ondokrestoj
(オンドクレストイ:波頭)
吉里吉里 きりきり 1.8 141.8 1938(昭和13)年4月5日 Reĝolando
(レジョランド:王国)
大槌 おおつち 3.4 145.2 1938(昭和13)年4月5日 Lumoturo
(ルーモトゥーロ:灯台)
鵜住居 うのすまい 4.0 149.2 釜石市 1939(昭和14)年9月17日 Plaĝo
(プラージョ:砂浜)
両石 りょういし 2.2 151.4 1954(昭和29)年9月1日 Fiŝhaveno
(フィッシハヴェーノ:漁港)
釜石 かまいし 6.1 157.5 1939(昭和14)年9月17日 La Oceano
(ラ・オツェアーノ:大洋)

歴史
1923(大正12)年10月10日 【開業】山田線 盛岡~上米内 (9.9km) 【駅新設】上盛岡、上米内
1928(昭和3)年9月25日 【延伸開業】上米内~区界 (25.7km) 【駅新設】大志田、浅岸、区界
1930(昭和5)年10月31日 【延伸開業】区界~松草 (8.0km) 【駅新設】松草
1931(昭和6)年10月31日 【延伸開業】松草~平津戸 (8.6km) 【駅新設】平津戸
1933(昭和8)年11月30日 【延伸開業】平津戸~陸中川井 (21.3km) 【駅新設】川内、箱石、陸中川井
1934(昭和9)年11月6日 【延伸開業】陸中川井~宮古 (28.6km) 【駅新設】腹帯、茂市、蟇目、千徳、宮古
1935(昭和10)年11月17日 【延伸開業】宮古~陸中山田 (26.5km) 【駅新設】磯鶏、津軽石、豊間根、陸中山田
1936(昭和11)年11月10日 【延伸開業】陸中山田~岩手船越 (5.0km) 【駅新設】織笠、岩手船越
1938(昭和13)年4月5日 【延伸開業】岩手船越~大槌 (11.6km) 【駅新設】吉里吉里、大槌
1939(昭和14)年9月17日 【延伸開業・全通】大槌~釜石 (12.3km) 【駅新設】鵜住居、釜石
1943(昭和18)年11月22日 【貨物線開業】宮古~宮古港 (2.0km) 【駅新設】(貨)宮古港
1944(昭和19)年3月12日 平津戸~川内間で雪崩により鉄橋が流されたため下り貨物列車が転落。機関士死亡。機関助士負傷。
1946(昭和21)年11月26日 【災害不通】平津戸~蟇目(風水害による)
1948(昭和22)年9月16日 【災害不通】松草~蟇目(アイオン台風による土砂災害)
1949(昭和24)年3月5日 【営業再開】蟇目~茂市
1951(昭和26)年7月23日 【仮停車場新設】両石
1952(昭和27)年2月10日 【駅新設】山岸
1953(昭和28)年3月25日 【営業再開】腹帯~茂市
1954(昭和29)年9月1日 【仮停車場→駅】両石
1954(昭和29)年11月21日 【営業再開】平津戸~腹帯(アイオン台風の被害復旧完了。全線開通。)
1961(昭和36)年12月20日 【駅新設】花原市、浪板
1970(昭和45)年2月28日 蒸気機関車運行終了 (C58)。3月1日から無煙化
1980(昭和55)年9月2日 【災害不通】宮古~津軽石(集中豪雨による土砂災害)
1981(昭和56)年1月30日 【営業再開】宮古~津軽石(全線復旧)
1984(昭和59)年2月1日 【貨物線廃止】宮古~宮古港 (-2.0km) 【駅廃止】(貨)宮古港
1986(昭和61)年11月1日 【貨物営業廃止】盛岡~釜石
1987(昭和62)年4月1日 【承継】東日本旅客鉄道
1994(平成6)年12月3日 【駅名改称】浪板→浪板海岸
1997(平成9)年10月4日 天皇・皇后の岩手訪問(全国豊かな海づくり大会への臨席など)に伴い、1号御料車編成によるお召し列車を盛岡から山田線経由で宮古へ運転(片道のみ。同月6日には釜石から釜石線経由で花巻へ運転)。DD51 842牽引(予備機:DD51 895)
2008(平成20)年7月24日 【災害不通】全線(岩手県沿岸北部地震による)
2008(平成20)年7月25日 【営業再開】全線(復旧)
2011(平成23)年3月11日 【災害不通】全線(東北地方太平洋沖地震とこれにより発生した大津波による)津波で織笠、大槌、鵜住居の各駅が流失、陸中山田が津波による大規模火災で焼失
2011(平成23)年3月18日 【営業再開】盛岡~上米内(朝・夕のみ)
2011(平成23)年3月26日 【営業再開】上米内~宮古(盛岡~宮古 復旧)
2011(平成23)年4月8日 【災害不通】全線(4月7日に発生した東北地方太平洋沖地震の余震による)
2011(平成23)年4月10日 【営業再開】盛岡~上米内
2011(平成23)年4月13日 【営業再開】上米内~宮古(盛岡~宮古 復旧)
2011(平成23)年4月20日 【振替輸送】宮古~釜石 (バスによる振替輸送開始、岩手県北自動車・岩手県交通)当初は、岩手船越~釜石については、岩手県交通が無料バスを運転していた。
2013(平成25)年1月1日 大志田・浅岸両駅が冬季全列車通過となる(2012年度は1月1日~3月15日、2013年度は12月15日~3月15日、2014年度以降は12月1日~3月31日)。
2015(平成27)年12月11日 JR東日本盛岡支社が大志田・浅岸の両駅の廃止について発表。
【災害不通】盛岡~宮古(松草~平津戸間で土砂流入、上り普通列車が土砂に乗り上げ脱線)
2015(平成27)年12月12日 【営業再開】盛岡~上米内
2015(平成27)年12月13日 【営業再開】川内~宮古
2016(平成28)年3月26日 【駅廃止】大志田、浅岸
2016(平成28)年8月30日 【災害不通】全線(台風10号による臨時運休、一部区間で土砂崩れが発生)
2016(平成28)年9月1日 【営業再開】盛岡~上米内
2016(平成28)年9月3日 【営業再開】茂市~宮古
2016(平成28)年12月9日 【営業再開】川内~茂市
2017(平成29)年11月5日 【営業再開】上米内~川内
2018(平成30)年3月25日 盛岡~宮古間の閉塞方式が連査閉塞式から特殊自動閉塞式に変更。区界駅の交換設備を撤去。
2018(平成30)年4月22日 盛岡~宮古間がCTC化。同時に上米内・川内・茂市の各駅の運転扱いを終了
2018(平成30)年7月18日 宮古~釜石間の復旧工事が完了し、同区間のレールが全線で繋がった。
2018(平成30)年8月21日 宮古~釜石間のディーゼル機関車による試運転を、釜石~大槌間を皮切りに開始。
2019(平成31)年1月28日 三陸鉄道所属の気動車、乗務員による試運転を宮古 - 釜石間で開始。
2019(平成31)年1月31日 三陸鉄道移管区間に対する地域公共交通活性化再生法に基づく鉄道事業再構築実施計画が認定。
2019(平成31)年2月11日 報道関係者向けの試乗会を宮古~釜石間で実施。
2019(平成31)年3月23日 【営業再開・移管】宮古~釜石(三陸鉄道へ移管)。
Wikipediaより参照)

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