PHASE-48「新世界へ」


 デュランダル議長により「ディスティニー計画」が発表され、混乱する世界。その中で、カガリ率いるオーブと、かつて、アークエンジェルをかくまったこともあり、オーブとは親密な関係があると思われるスカンジナビア王国がいち早く反対します。
 確かに、遺伝子レベルで自分の才能や適性を見つけて理解し、それに相応の役割を果たす、これは一見、いいように見えますが、考えてみれば、人間とは自分の能力や可能性がわからないからこそ、努力したり、夢を持ったりします。それが自分の才能(限界ライン)がわかってしまったら、夢も希望もなくなります。やがて人間は努力することをやめ世界は「閉塞し、停滞した状態」となるでしょう。確かに戦争は起こらなくなるかもしれません。しかし、この「ディスティニー計画」を拡大解釈すれば、仮に好戦的・犯罪を犯しそうな遺伝子を持った人間、劣等な遺伝子を生まれながらにして持った人間などがいたとしたら、「処分」という名の殺害、または人為的「遺伝子操作」される可能性もあり、大きな問題になることが予想されます。これは、歴史的にも、ナチス・ドイツが精神的疾病者を安楽死させたこともあり、あながち考えすぎといえ無くはないのです。
 カガリが「精神への侵略よりたちが悪い」といっていますが、これは核心をついている言葉だと思います。

 レイが、シンに「何があっても、議長を信じるんだ」と説得、というより宗教的勧誘にも似たことをしています。ここで、レイは重大な秘密を暴露します。自分はクローンで、テロメアが短いと(つまり、老化現象が早く寿命が短い)。多分、レイはシンに自分の意志を継いでほしいと願ったんではないんでしょうか。さて、ここで当然、疑問となるのは、レイは誰のクローンなのかですが、デュランダル議長とタリア艦長、そして影のようにつきまとうラウ・ル・クルーゼ、この三人が関わっていることは間違いないでしょう。予想ですが、本命は、ラウ・ル・クルーゼのクローン、大穴は、デュランダル議長とタリア艦長との間にできた子供のクローン。タリア艦長が、艦長室で、自分の息子らしき人物との写真を眺めるシーンがありますので。

 もはや敵なしのデュランダル議長にとって、平和を愛すると言ったきれい事や仮面は必要ありません。敵対する勢力は無条件に攻撃破壊されるだけです。連合の最期の拠点である月のアルザッヘル基地をレクイエムで無差別攻撃、というより一方的な殺戮をしたのがその象徴です。それも、連合側から話し合いをしたいと来ていたのに、問答無用といった感じです。今度は「ディスティニー計画」にいち早く反対したオーブが標的となるのは自明の理となります。
 強引に事を進めるデュランダル議長。もしかしたら彼の命もレイ同様に長くはない可能性があります。
 「エターナル」と「アークエンジェル」が合流し、最期の戦いの火蓋は切って落とされようとしている。その中で、今まで影の薄かった(笑)、シンはどのような立ち回りを演じるのか、これが見どころです。



(2005.9.17記入)