◆プラチナ(platinum)◆
人類とプラチナの歴史は以外と古く、現存する最古のプラチナ製品は、エジプトのテーベにある女性神官シュペヌペット1世の墓(紀元前720年〜紀元前659年頃)から出土した小箱で、そこには純度の高いプラチナ鉱石の破片がはめ込まれていました。パリのル−ブル博物館に展示され、現在「テ−ベの小箱」と呼ばれています。また、それ以前の第18王朝時代にも、ファラオの装身具として僅かに利用されていたようです。
時代は下って、10世紀頃には、南米でも装身具として利用されていました。これは純度80%以上もあるもので、当時すでに高度な精錬技術が有った事を示します。
しかし、融点が高い、産出量がきわめて少ない、加工しにくいなどの理由で、一般には普及せず、しばらく忘れ去られた存在となりました。
1735年には、スペインの海軍将校が、コロンビアのピント川河畔で銀に似た白い金属を発見し、本国に報告。これがプラチナの「再発見」となりました。スペイン人達は、これを「ピント川の小さな銀 platina del Pinto」と呼び、これが現在のplatina、あるいは元素名platinum(ラテン語形)の語源となっています。
プラチナは産出する国は少なく、南アフリカ(80%)とロシア(11%)で世界産出量の9割を占めており、年間産出量も金の1/25の150トン程しかありません。しかも原鉱石のプラチナ含有量もごくわずかで、細い小さなリング1つ(約3g)を作るためには約1トンの原石が必要になります。このような限定された産出地と、微量な含有量からも、いかにプラチナが希少かがわかると思います。
工業的には、自動車のディーゼルエンジンなどの種々のエンジンや燃焼器から排出される排ガス中の有害な窒素酸化物(NOx)を有効に除去できる触媒としてマフラーの中などの一部に使用します。
物理的には、金よりも安定した金属で、錆びたり、酸やアルカリに侵されることは若干の例外を除いてありません。
装飾品としては、3代目ルイ・カルティエが、プラチナに魅了され、ダイヤモンドの石留めに初めてプラチナを使ってから、名門ジュエラーでは、最高級グレードの商品には、すべてプラチナを用しています。
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platinum(Pt) |
原子番号 |
78 |
元素記号 |
Pt(スペイン語の「ピント川の小さな銀「platina del Pinto」が語源) |
純プラチナの比重 |
21.4 |
純プラチナの融点 |
2041K |
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