◆銀、シルバー(silver)◆

塊として産出することがあまりなかったためか、人類との出会いがゴールドよりも若干遅く、紀元前3000年頃,、銀製の宝飾品としてウル文化(古代のシュメール人の都市)の埋葬遺跡で見つかりました。採掘された最初の銀は、アナトリア(現代のトルコあたり)周辺の鉱山でした。カルデア人は紀元前2500年頃、他の鉱石から銀を抽出する技術を持った最初の文明でした。落ちついた柔らかな白い光沢が特徴ですが、すべての金属のなかで(水銀とともに)もっとも可視光線の反射率が高く(反射率は90%、赤外線は98%を反射します)、研磨することによってプラチナよりも強い輝きを出すことができます。また、展延性に富み、金属の中で熱伝導率及び電気伝導率が最大です。 長時間放置すると硫化して黒変します。空気中の硫化水素などと化合して硫化銀となったものです。
ロジウムメッキをかけることによって、この黒変は避けられますがシルバー独特の柔らかな銀色の風合いは失われプラチナのような硬質な光を放つ銀色となります。

純金の19.4や純プラチナの21.4に比べて、 シルバーの比重は10.5とかなり軽く、値段も安価です。品位はプラチナ同様、千分率で表示されます。シルバーそのものは柔らかい性質なので、装飾品として使用する場合、他の金属と混ぜてた合金として使われ、一般に950銀か925銀、900銀が使われますが銅を混ぜただけの二元合金が一般的です。

◎Colum◎
【いろんな合金】
950銀
銅を5%混ぜた合金で手作り加工でよく用いられます。
925銀(俗称:スターリング・シルバー)
925銀とは銅を7.5%混ぜた合金で、鋳造の量産品に多く用いられ欧米では銀器や食器などに広く使われています。「スターリングシルバー」との俗称があり、sterling=「英国貨幣の」と言う意味が示すとおり、もともとはイギリスの古くからの貨幣習慣から由来したものです。その他の多くの国では、900銀のcoin silverが採用されていたようです(現在では、銀の流通事情などにより銀貨の使用をやめているところが多いようです)。925銀の場合残りの75(7.5%)は通常銅を混ぜます(割金)。割金の銅の方が硬いので銅分が多いほど硬い材料になります。品位925の銀合金は、種々のさまざまな優れた性質を持っており、貨幣用としてはもとより、装飾用、工業用と、さまざまな分野で使用されています。
900銀(俗称:コインシルバー)
銅を10%混ぜた硬めのシルバー合金で、通貨やチェーンやバネなど硬さが必要な場合に用いられます。

【食器に銀が重用された理由】
見た目の華やかさもありますが、実はもう一つの隠された理由がありました。銀は硫化水素と化合して硫化銀として黒変する性質があります。当時毒には硫化水素が多く含まれていたため、毒殺をおそれた王侯貴族が毒の有無を検出するために銀を多用したということです。また、銀には微生物や細菌の繁殖をおさえる殺菌作用もありますので、食中毒になり難いという経験則からも食器に銀が珍重された理由もあるようです。


Silver(Ag)
原子番号47
元素記号Ag(ラテン語のargentumが語源)
純銀の比重
10.5
純銀の融点1233K


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