(概要) 南部鉄道は、東北本線尻内駅(現在の八戸駅)と五戸町を結んだ路線である。 (歴史) 明治時代に全線開通した東北本線は直線的に敷設したため、かつての街道筋の宿場町を通らないことがあった。そこで東北本線から外れた宿場町では、会社を立ち上げて小私鉄を敷設して東北本線までつなげようという気運が高まった。 南部鉄道もそのうちの一つであり、東北本線の尻内駅(現在の八戸駅)とかつての奥州街道の宿場町五戸を結ぶことを目的として、1926(大正15)年に五戸電気鉄道として会社が設立され、1929(昭和4)年に尻内〜上七崎(のちの七崎)間が開業。1930(昭和5)年には五戸まで開業した。1936(昭和11)年5月5日には五戸鉄道、1945(昭和20)年1月1日には南部鉄道に社名変更している。 ちなみに、戦後には尻内からさらに延長して八戸市内をとおり種差海岸や、五戸から十和田湖を経て秋田県毛馬内(現在のJR花輪線十和田南駅)までの延伸計画があった。 しばらくは黒字を維持していたが、昭和30年代のいわゆるモータリゼーションの波により、次第に赤字になっていき経営が苦しくなっていった。さらに1968(昭和43)年5月17日に発生した十勝沖地震で甚大な被害を被り、その被害は路盤の沈下・決壊・亀裂・土砂流出などの路線被害が49箇所に上り、停車場・待合室・倉庫・ホームの損壊などの鉄道設備被害が16箇所、電柱の倒壊30本、傾斜80本と当時の金額で2億円以上に上る。かねてからの赤字も相まって翌日の18日には復旧を断念し、翌年1969(昭和44)年3月で正式に廃線となった。 南部鉄道はバス会社に転換して「南部バス」と社名変更し、現在でも存続している。 ちなみに南部鉄道は、前身の五戸「電気」鉄道時代より非電化の路線であった。 |
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「この地図は、国土地理院発行の2.5万分の1地形図(五戸)(平成11)を使用したものである。」 国土地理院発行地形図の引用について http://www.gsi.go.jp/LAW/2930-meizi.html |
「この地図は、国土地理院発行の2.5万分の1地形図(八戸西部)(平成14)を使用したものである。」 国土地理院発行地形図の引用について http://www.gsi.go.jp/LAW/2930-meizi.html |
@.尻内駅〜張田駅周辺 | A.正法寺駅周辺 |
B.七崎駅周辺 | C.豊崎駅周辺 |
D.志戸岸駅周辺 | E.県立種鶏場前駅周辺 |
F.五戸駅周辺 | ◆ |
駅名 | 駅間 営業 キロ |
累計 営業 キロ |
所在地 | 開業日 | ||
(漢字表記) | (よみ) | |||||
尻内駅 | しりうち | - | 0 | 青 森 県 |
八戸市 | 1929(昭和4)年8月23日 |
張田駅 | はりた | 1.2 | 1.2 | 1929(昭和4)年8月23日 | ||
正法寺駅 | しょうほうじ | 1.8 | 3.0 | 1929(昭和4)年8月23日 | ||
七崎駅 | ならさき | 1.9 | 4.9 | 1929(昭和4)年8月23日 | ||
豊崎駅 | とよさき | 1.3 | 6.2 | 1929(昭和4)年10月10日 | ||
志戸岸駅 | しとぎし | 1.6 | 7.8 | 1929(昭和4)年10月10日 | ||
県立種鶏場前駅 | けんりつしゅけいじょう | 1.8 | 9.6 | 五戸町 | 1930(昭和5)年4月1日 | |
五戸駅 | ごのへ | 1.7 | 12.3 | 1929(昭和5)年4月1日 |
1926(大正15)年2月21日 | 五戸電気鉄道として会社設立 |
1929(昭和4)年8月23日 | 尻内〜上七崎(のちの七崎)間が開業 |
1929(昭和4)年10月10日 | 上七崎〜志戸岸間が開業 |
1930(昭和5)年4月1日 | 志戸岸〜五戸間が開業 |
1936(昭和11)年5月5日 | 五戸鉄道に社名変更 |
1945(昭和20)年1月1日 | 南部鉄道に社名変更 |
1968(昭和43)年5月17日 | 十勝沖地震により全線運行休止 |
1969(昭和44)年4月1日 | 全線廃止 |
1970(昭和45)年5月30日 | 南部バスに社名変更 |