(概要) 十和田観光電鉄線は、青森県三沢市の三沢駅から十和田市の十和田市駅までを結ぶ十和田観光電鉄の鉄道路線である。 長らく地元住民の足として、十和田湖観光の足として利用されていたが、近年は利用者減に悩まされていた。 さらに2010年(平成22年)12月4日に東北新幹線・七戸十和田駅が開業すると、十和田湖周辺への観光客を中心に利用者減に拍車がかかってしまった。原因は、東北新幹線の青森延伸による七戸十和田駅開業と少子化による沿線の学校への通学客の減少と思われる。例えば東京方面からの観光客が十和田に行く場合、従来は東北新幹線で終着駅だった八戸まで乗り、その後東北本線に乗り換えて三沢駅で十和田観光電鉄線に乗り換えるルートだったものから、東北新幹線七戸十和田駅から直接バスなどで十和田市に向かうルートに流れてしまったことによると思われる。さらに2011(平成23)年3月11日に発災した東日本大震災の影響で、鉄道事業の赤字を補っていた同社のホテルやバス事業の収入も減ったため、沿線の自治体(三沢市、六戸町、十和田市)に今後10年間で約5億円の資金援助を要請したが、自治体側は「経営改善が見込めない」として要請を拒否した。そのため、2012(平成24)年3月末をもって廃線として、バス転換する方針が発表されている。 (歴史) 1922(大正11)年9月5日に地元の民間資本である十和田鉄道として古間木〜三本木間の14.9kmが開業したことがはじまり。建設時に三本木開墾株式会社より線路用地として堤防上の提供を受けたことにより、路線は大曲駅から十和田市駅までほぼ稲生川に沿うように敷設されている。1951(昭和26)年にレール幅が軽便鉄道の仕様である762mmから1067mmに改軌され、同時に直流電化となった。 |
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駅名 | 駅間 キロ |
営業 キロ |
所在地 | 開業日 | ||
(漢字表記) | (よみ) | |||||
三沢駅 | みさわ | - | 0.0 | 青 森 県 |
三沢市 | 1922(大正11)年9月5日 |
大曲駅 | おおまがり | 2.7 | 2.7 | 上北郡 六戸町 |
1935(昭和10)年4月1日 | |
柳沢駅 | やなぎさわ | 2.4 | 5.1 | 1932(昭和7)年12月1日 | ||
七百駅 | しちひゃく | 1.3 | 6.4 | 1922(大正11)年9月5日 | ||
古里駅 | ふるさと | 2.0 | 8.4 | 1934(昭和9)年12月1日 | ||
三農校前駅 | さんのうこうまえ | 1.5 | 9.9 | 1969(昭和44)年10月1日 | ||
高清水駅 | たかしず | 0.7 | 10.6 | 十和田市 | 1922(大正11)年9月5日 | |
北里大学前駅 | きたざとだいがくまえ | 2.1 | 12.7 | 1984(昭和59)年4月1日 | ||
工業高校前駅 | こうぎょうこうこうまえ | 0.6 | 13.3 | 1969(昭和44)年5月1日 | ||
ひがし野団地駅 | ひがしのだんち | 0.4 | 13.7 | 1932(昭和7)年12月1日 | ||
十和田市駅 | とわだし | 1.0 | 14.7 | 1922(大正11)年9月5日 |
年表 | |
1922(大正11)年9月5日 | 十和田鉄道(とわだてつどう) 古間木〜三本木間 (14.9km) 開業。古間木駅、七百駅、高清水駅、三本木駅設置。 |
1925(大正14)年10月1日 | 三本木〜七百間 0.1km延長(東北本線古間木駅と連絡)。 |
1930(昭和5)年6月9日 | 七百駅に列車交換設備新設。 |
1932(昭和7)年12月1日 | 柳沢駅、渋沢農場前駅開業。 |
1933(昭和8)年9月11日 | 高清水〜渋沢農場前間 0.1km短縮、渋沢農場前〜三本木間 0.1km延長。 |
1934(昭和9)年12月1日 | 古里駅開業。 |
1935(昭和10)年4月1日 | 大曲信号所設置。 |
1938(昭和13)年5月24日 | 大曲信号所を大曲駅として開業。 |
1951(昭和26)年6月20日 | 全線を762mmから1067mm軌間に改軌・直流1500V電化、0.2km延長。 |
1951(昭和26)年12月30日 | 十和田観光電鉄に社名変更。 |
1961(昭和36)年3月1日 | 古間木駅を三沢駅に改称。 |
1969(昭和44)年5月1日 | 工業高校前駅開業。 |
1969(昭和44)年5月15日 | 三本木駅を十和田市駅に改称。 |
1969(昭和44)年10月1日 | 三農校前駅開業。 |
1971(昭和46)年12月16日 | 票券閉塞式から単線自動閉塞式へ変更。 |
1972(昭和47)年8月15日 | 渋沢農場前駅をひがし野団地駅に改称。 |
1984(昭和59)年4月1日 | 北里大学前駅開業。 |
1985(昭和60)年10月28日 | 十和田市駅が、旧駅からショッピングセンター併設の新駅に切り替えられ、ひがし野団地〜十和田市間で0.3km短縮。 |
1986(昭和61)年11月1日 | 貨物取扱廃止。 |
1995(平成7)年10月1日 | ワンマン運転開始および列車無線取り付け。 |
2002(平成14)年9月22日 | 7700系電車営業運転開始。 |
2002(平成14)年10月1日 | 自動列車停止装置(ATS)導入。JR東日本との連絡運輸廃止。 |
2002(平成14)年11月21日 | 7200系電車営業運転開始。 |
2008(平成20)年3月1日 | (旧)十和田観光電鉄から「とうてつ」に事業譲渡し、(新)十和田観光電鉄に社名変更させた上で新会社による運営開始。 |
2010(平成22)年12月4日 | ダイヤ改正で平日と土休日を別ダイヤとする。平日18往復、土休日16往復。 |
2011(平成23)年3月12日 | ダイヤ改正で平日と土休日を同ダイヤとする。1日17往復。 |
2011(平成23)年5月21日 | ダイヤ改正で平日と土休日を再び別ダイヤとする。平日17往復、土休日12往復。 |
2011(平成23)年10月7日 | 臨時取締役会にて、廃線とする方針を決定。11日に2012年3月末での廃線を発表。 |