岩手県公会堂は1927(昭和2)年に竣工したゴシック系の近代建築で、昭和天皇の御成婚記念事業の一環として計画された。当初は岩手県議会議事堂の機能を有しており、大きく県会議事堂、大ホール、西洋料理店、皇族・貴族方の宿泊所の4つの機能を持っており、間口44メートル,奥行48メートル、正面塔屋の高さ約24メートルの規模を誇り、当時の金額で438,000円の建設費と4年という歳月が掛かりました。設計は、日比谷公会堂や東京市政会館、早稲田大学大隈講堂などを手がけた早稲田大学教佐藤幸一氏で、岩手県公会堂もそれらの建物と類似している点が多いと言われている。当時としては先駆け的存在のコンクリートを主要構造として、全体的には2階建てに高さを抑えるなどの周囲の環境にも配慮している。柱は基本的に外側に張り出させ、スクラッチタイルが何層に張られている様なデザインで全体を構成している為、単調にならないような工夫が見られる。県会議場・文化会館・終戦後にはGHQに接収されて病院に使用されたなどの変遷を経ましたが、現在でも現役として県民の憩いの場として活躍しています。大規模な改修は行われなかったため、建設当初の調度品が数多く残っているが、築80年を越え、老朽化が著しい。2006(平成18)年11月9日には国の登録有形文化財(建造物)の指定を受けました。 | |
旧貴賓室。完成翌年の1928(昭和3)年に盛岡で開催された「陸軍大演習」に天皇陛下(昭和天皇)をお向かいした際、この部屋に「大本営・御座所」が設置され、実際に宿泊されました。 |
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旧「大食堂室」、現在は会議場として使用されています。 |
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フランス料理レストラン「公会堂多賀」。公会堂と同じ1927(昭和2)年開店の老舗。新渡戸稲造が帰省の際に立ち寄るなど、縁のあるレストランです。 |
建物の脇にある原敬胸像。なぜか盛岡では原敬は人気があります(笑)。 |