真言宗御室派総本山の寺院で、山号を大内山と称する。 宇多天皇によって888(仁和4)年に落成し、「西山御願寺」と称されたが、やがて年号をとって仁和寺と号した。宇多天皇が出家後、仁和寺伽藍の西南に「御室」(おむろ)と呼ばれる僧坊を建てて住んだため、当寺には「御室御所」の別称がある(御室とは、「皇室の住居」の意味)。以後、明治時代に至るまでに皇子や皇族が歴代の門跡(住職)を務め、門跡寺院として格式が高く、また、「徒然草」「方丈記」など古典にも数多く登場する。 応仁の乱(1467年〜1477年)で境内の主要な建物は全焼した。近世になって、寛永年間(1624年〜1644年)、徳川幕府により伽藍が整備された。また、寛永年間の皇居建て替えに伴い、旧皇居の紫宸殿、清涼殿、常御殿などが仁和寺に下賜され、境内に移築されている(現在の金堂は旧紫宸殿で国宝)。 現在は、朱塗りの中門(重要文化財)、御所の紫宸殿を移築した金堂(国宝)、五重塔(重要文化財)や観音堂(重要文化財)等がある。また、境内の背丈の低い桜は「御室桜」(名勝)として有名である 。 |
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入口にそびえる二王門(重要文化財) (1641(寛永18)〜1645(正保元)年建立) |
五重塔(重要文化財) (1644(寛永21)年建立) |
九所明神本殿(重要文化財)・左右殿 (1641(寛永18)〜1645(正保元)年建立) |
金堂(旧紫宸殿)(国宝) 慶長年間に造営された旧皇居の正殿・紫宸殿を、寛永年間に移築改造したもの。 (1641(寛永18)年建立) |
中門(重要文化財) (1641(寛永18)〜1645(正保元)年建立) |
経蔵(重要文化財) (1641(寛永18)〜1645(正保元)年建立) |
鐘楼(重要文化財) (1644(寛永21)年建立) |
御影堂(重要文化財) 弘法大師像、宇多法皇像、仁和寺第2世性信親王像が安置されている。慶長年間に造営された旧皇居の内裏・清涼殿の用材を用いて、寛永年間に再建したもの。 (1641(寛永18)〜1645(正保元)年建立) |
観音堂(重要文化財) 本尊は千手観音菩薩で、脇侍として不動明王・降三世明王、その周りには二十八部衆が安置される。 (1641(寛永18)〜1645(正保元)年建立) |
勅使門 (1913(大正2)年再建) |
御殿入口 |
御殿内部廊下 |
御殿南庭 |
霊明殿内部 (1911(明治44)年建立) |
御殿より北庭を眺める。南庭とは対照的な池泉式の雅な庭園が特徴。北庭の製作年代は不明。中央には五重塔が見える。 |
黒書院 京都・花園にあった旧安井門跡の寝殿を移して改造したもの。 (1909(明治42)年移築) |