奥羽本線
旧線区間(及位〜院内間)

◆2021年5月4日(土)撮影
 この区間は1966(昭和41)年の複線化に合わせて雄勝川をまたぐ形で橋梁を建設して完全に切り替えて、旧線は廃止となった。工費節約を考えれば旧線をそのまま利用し、もう一本の線路を現在の橋梁の形で増やせばよいようなものである。
 しかし、1964(昭和39)年12月、並行する国道13号の改修工事時に行なわれた発破作業の悪影響で岩崖隧道に変状を生じ、H鋼を蛇腹のように内壁に巻き付ける応急補強を実施し、その上で30km/hの徐行運転を余儀なくされた。そこで、現在の雄勝川を二度横断するための谷を跨ぐ橋梁を建設して路線を切り替えることとし、同隧道は1966(昭和41)年11月に役目を終えた。ちなみに及位〜院内間の複線化は1968(昭和43)年9月、電化されたのが1975(昭和50)年のことでした。

 この日は、5月の大型連休、平時であれば北海道へ行って、JR北海道路線の各駅お遍路を実施する頃ですが、この年は、COVID-19の感染拡大で、北海道に緊急事態宣言が発令されて行くことができませんでしたので、県内と近隣県を回る事くらいしかできませんでした。そこで、前々から計画し下調べしていたこの「及位〜院内」と後述の「院内〜大滝」間の廃隧道群を日帰りで探索することとなりました。

「国土地理院の電子地形図25000を掲載」
国土地理院発行地形図の引用について
http://www.gsi.go.jp/LAW/2930-meizi.html

上記地形図を拡大。
@旧線入口

ちょうど、国道13号線と鉄道跨線橋が交差する地点にありますので、すぐに分かります。
入口は林道となっています。

道路上からは、これから目指すスノー(ロック)シェードが見えます。

左右が旧線跡で、真っ直ぐに直進しているのが後年作られた林道で、奥に入口の門が見えます。

右奥に見えるのが先ほどの国道13号線と鉄道跨線橋で、一段高くなっているところがスノー(ロック)シェードへ向かう旧線跡。
Aスノー(ロック)シェード

まずは下の国道から見えたスノー(ロック)シェードへと向かいます。

上り(及位)側入口。

ちょうど電車が走ってきたので撮影。

内部は手入れされているようで、崩落などの危険箇所はありません。ローマ遺跡を思わせる雰囲気です。

何とも荘厳な雰囲気です。

天井には現役時代に走っていた蒸気機関車から出る煤がこびりついていました。

現在線の橋梁が見えます。
B旧線と現在線との合流地点

旧線と現在線の合流点。

現在線と旧線のロック(スノー)シェードの位置関係はこの通り。

ちょうどここは福島から191km地点にあたる事がこのキロポストからわかります。
C岩崖隧道
長さ103.63メートル。1904(明治37)年開業当時からの隧道ですが、交流電化での使用を視野に入れた「特一号型」として1956〜57年の改修工事がおこなわれ、従来の馬蹄形断面・レンガ作りから変更されました。しかし、1964(昭和39)年12月、並行する国道13号の改修工事時に行なわれた発破作業の悪影響で変状を生じ、H鋼を蛇腹のように内壁に巻き付ける応急補強を実施し、その上で30km/hの徐行運転を余儀なくされました。そこで、現在の雄勝川を二度横断するための谷を跨ぐ橋梁を建設して路線を切り替えることとし、同隧道は1966(昭和41)年11月に役目を終えます。ちなみに及位〜院内間の複線化は1968(昭和43)年9月、電化されたのが1975(昭和50)年のことでした。

下り(院内)側入口

隧道全体が変形をしたために、H鋼が蛇腹のように内壁全体に設置する応急補強を実施した生々しい跡がよく見えます。

冷蔵庫らしき白物家電が埋め込まれています。

そのほかにも何やらゴミが散乱しています。何やら生活臭というものを感じます。誰かが住んでいたのでしょうか?

こちらにはストーブらしきものが。

待避所にもなにやら廃棄物があります。

もう少しで出口です。

上り(及位)側入口

上り(及位)側にある銘板。トンネル名が、「岩崖ずい道」で全長103.63mである事が分かります。さらに改良工事着手が1956(昭和31)年12月20日、竣工が1957(昭和32)年11月10日となっていて、前述した事情により1966(昭和41)年11月に役目を終えますので、わずか9年しか使われなかったことになります。

この先旧線跡は続きます。
Dスノー(ロック)シェード

こちらが院内(下り)側。先ほどのスノー(ロック)シェードと同じ作りです。

下り側と上り側半分づつ構造が異なるロック(スノー)シェードです。

だいぶ劣化が進んでいます。

このローマ遺跡を感じさせるアーチが何とも溜まりません。

半分進んだ上り側になると、造りが直線的なものにと変わります。

先ほどのアーチ状の造りと違ったこれまた趣ある構造です。
こちらも柱がだいぶ劣化が進んでいます。

山側は頑丈な石積みとなっています。

上には明かりを採るための採光穴が空いていました。

支柱がだいぶ劣化が進んでいますあ、保線用道路として使用されているためか、必要最低限の補修はされているようです。

上り(及位)側入口

山肌を縫うように旧線が通っていますので、頑丈な落石防止の擁壁があります。

横から見ると、分厚く相当頑丈であることが分かります。
E旧線と現在線との合流地点

先を進むと、左に現在線の橋梁が見えます。

ここが新旧の合流点。

左が旧線で、右が現在の路線。

勾配標。19.7パーミルの下りは急勾配です。

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