東北本線
旧線区間(乙供〜千曳〜野辺地)

◆2010年9月18日(土)、2011年4月10日(日)撮影
 この地を初めて訪れたのが、2010年9月。近くにある米軍三沢基地の航空ショーにあわせてやってきたんですが、この時期は夏は過ぎ去りつつあるものの、まだまだ暑く、また廃線巡りの天敵とも言える草が青々と生い茂り、蚊もうようよいるという最悪の条件での探索でした。結果としては不十分なものとなってしまい、今度は草の生えていない雪解け間近の春先と決め、その後は情報収集にいそしみました。ようやく雪もなくなってきた3月に行こうとした矢先、今度は震災にあってしまい、物不足、とりわけガソリン不足という事態に直面して3月探索は断念。ようやくまわりが落ち着いた2011年4月に探索を開始できました。
 この旧線区間は、いろんな経緯を辿ったなかなか珍しい区間であった。簡単に言うと、旧線区間の北西半分は私鉄である南部縦貫鉄道の路線に転用されたが、東半分は放棄された。しかし、鉄道路線として転用された南部縦貫鉄道も2002年に廃止になり、旧線全区間で鉄道用に使われることはなくなってしまい、今後時間をかけて自然に還ることになった。

 1910(明治43)年に東北本線が開通した時、この区間は赤線で示されたルートであり、千曳駅も現在とは違う、集落の近くにあった。1962(昭和37)年開業の南部縦貫鉄道が開業した時の起点もこの旧千曳駅で、国鉄ホーム隣に専用のホームがあった。

 1968(昭和43)年に東北本線の輸送力増加を目的とし、全線複線化および線路改良工事が各所で行われ、このルートも従来の山を迂回するために距離が長くなりカーブが続くために鉄道輸送の上からも難のあるルートから、大平トンネルを抜ける直線の短絡路に変更、千曳駅もこれにあわせて移転し、集落から離れた現在地に変更された。南部縦貫鉄道はこの機に、特急が止まる野辺地駅までの路線延長を計画し、国鉄より旧千曳〜野辺地間の旧線を線路ごと無償貸与を受けて開業することになった。旧千曳駅は南部縦貫鉄道の駅に転用され、西千曳駅と改称された。ちなみに旧千曳〜新千曳までの旧線は1968(昭和43)年8月5日の新ルート開業に伴って廃棄されて更地となり、農道に転用された。
 その後、南部縦貫鉄道が1997(平成9)年5月6日に休止、2002(平成14)年8月1日に廃止されると、東北本線旧線だった野辺地〜西千曳までの区間も含め全線が廃止となった。


「この地図は、国土地理院発行の2.5万分の1地形図(七戸)(平成9)を使用したものである。」
国土地理院発行地形図の引用について
http://www.gsi.go.jp/LAW/2930-meizi.html

「この地図は、国土地理院発行の2.5万分の1地形図(七戸)(昭和21)を使用したものである。」
国土地理院発行地形図の引用について
http://www.gsi.go.jp/LAW/2930-meizi.html
@旧線区間乙供駅側

現在の千曳駅と、旧線区間を並行して走る県道の跨線橋が見えます。
(2011年4月10日撮影)

この柱は東北本線に由来するものだと思われます。
(2011年4月10日撮影)

すぐ近くにある設備類。何かはわかりませんが東北本線に由来するものでしょうか?(2011年4月10日撮影)

近くによって撮影。電極みたいなものがありました。(2011年4月10日撮影)

旧線時代のコンクリート製の橋。下の写真は2010年9月18日撮影のもの。
(2011年4月10日撮影)

近くによって見ると、なかなかの年代物で重厚かつ頑丈な造りで、廃線マニアにはたまらない一品です(笑)。
(2011年4月10日撮影)

(2010年9月18日撮影)

(2010年9月18日撮影)
A旧線区間農道転用部分

この区間の旧線跡は農道に転用されています。その下側面を補強している法面。石造りの重厚なもので、東北本線時代のものと思われます。
(2011年4月10日撮影)
B旧線と南部縦貫鉄道の合流区間

旧線と南部縦貫鉄道の分岐点。まっすぐのびる轍が旧線、写真右の築堤が南部縦貫鉄道跡。南部縦貫鉄道は旧線の一部を転用していて、転用されなかった部分は現在農道となっています。
(2010年9月18日撮影)
C踏切跡周辺

乙供方向を撮影。写真中心方向が旧線。
(2010年9月18日撮影)
D旧千曳駅跡

左を下るとかつての千曳駅がありました。

駅全景。前回訪問時には草がうっそうと茂っていて全体を見ることが出来ませんでしたが、草の生えないこの時期だと全体像を眺めることが出来ます。現在の駅とは違い、交換設備のある大きな駅であったことがわかります。
(2011年4月10日撮影)

ホーム跡。左が2010年9月18日撮影。右が2011年4月10日撮影。

(2011年4月10日撮影)

ホームを横切るように獣道が出来ていて、近隣住民が行き来しているようです。ホームには生活排水らしき水が溜まっていて、足場として枕木が敷かれていました。この駅は付近より一段低いところにあるため、排水設備がうまく機能しないと水が溜まりやすい地勢のようです。
(2010年9月18日撮影)

前回訪問時には気づきませんでしたが、生活道路が作られ、ホームが無惨にも破壊されていました。
(2011年4月10日撮影)
E

ここの旧線跡は造成工事が行われていて、所々畑や家が建っていました。
(2011年4月10日撮影)
F

林の左が旧線跡。(2011年4月10日撮影)
G野辺地川橋梁

手前が旧南部縦貫鉄道、奥が青い森鉄道(旧東北本線)使用路線。この先(写真左方向)にかつての南部縦貫鉄道線始発駅の野辺地駅があります。
(2011年4月10日撮影)

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