(概要) 海峡線(かいきょうせん)は、津軽海峡の海底下に掘削された青函トンネルを介して、本州の青森県東津軽郡外ヶ浜町の中小国駅と北海道上磯郡木古内町の木古内駅とを結ぶ北海道旅客鉄道(JR北海道)の鉄道路線(地方交通線)である。 すべての列車が直通する東日本旅客鉄道(JR東日本)津軽線およびJR北海道江差線・函館本線のそれぞれ一部区間と合わせて「津軽海峡線」という愛称が付けられており、交通新聞社の『JR時刻表』やJTBパブリッシングの『JTB時刻表』などの市販時刻表でも「津軽海峡線」として案内されている。 (歴史) 従来の本州と北海道の連絡手段は船(青函連絡船)であったが、時間がかかることや天候などの気象条件に左右されやすい問題があり、トンネルを介して鉄道で行き来するという構想は昔からあった。戦後間もない1946(昭和21)年2月に運輸省内に非公式の「津軽海峡連絡隧道調査委員会」が設置され地質調査が開始され、1953(昭和28)年8月には鉄道敷設法予定線と位置づけられた。しかし、翌年の1954(昭和29)年9月に未曾有の死傷者を出した洞爺丸海難事故をきっかけにトンネル建設の気運が盛り上がっていった。その中で建設計画は進み、1964(昭和39)年には調査線となり、同年5月に調査斜坑掘削が開始され、1971(昭和46)年4月には工事線となり、同年9月から本格的な工事が着工された。工事中の異常出水などの問題を克服しながら1988(昭和63)年に開通に至った。 当初は在来線の規格で設計されたが、途中で整備新幹線計画を受け、北海道新幹線の開通を見越して新幹線規格での設計に改められている。 海峡線は、国鉄分割民営化後の1988(昭和63)年、従来青森駅〜函館駅間で運航されていた青函連絡船に代わって本州と北海道を連絡するJR線として開業した。 本州と北海道を結ぶ優等列車が多く運転され、また数多くの貨物列車が設定され、本州と北海道との物流の大動脈として活躍している。将来の北海道新幹線との共用を見越して新幹線規格で建設されたため、事実上のスーパー特急方式となっており、2015年度に開業が予定される当路線区間での北海道新幹線の運転に向けて、現在三線軌化が行われている。北海道新幹線と在来線の分岐点は青森側が新中小国信号場の北(北海道寄り)、北海道側が木古内駅の西(本州寄り)に設けられる予定であり、開業時からそれに対応した線形となっている。 |
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青函トンネル青森側 (2011年9月3日撮影) |
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海峡線(狭軌)と北海道新幹線(広軌)との分岐点。 左右1本ずつが海峡線で、中央2本が北海道新幹線。 (2017年4月15日(土)撮影) |
設備はJR北海道が管轄しています。 (2017年4月15日(土)撮影) |
駅名 | 駅間 営業 キロ |
累計 営業 キロ |
備考 | 所在地 | 開業日 | |||
(漢字表記) | (よみ) | |||||||
中小国駅 (注1) |
なかおぐに | 4.4 | 0.0 | 青 森 県 |
東 津 軽 郡 |
外ヶ浜町 | 1958(昭和33)年10月21日 ※津軽線の駅として |
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新中小国信号場 | しんなかおぐに | - | 2.3 | (JR東日本津軽線とJR北海道海峡線の実際の分岐点) | 1988(昭和63)年3月13日 | |||
津軽今別駅 | つがるいまべつ | 13.0 | 13.0 | 津軽線津軽二股駅と隣接 | 今別町 | 1988(昭和63)年3月13日 | ||
竜飛海底駅(注2) (廃止) |
たっぴかいてい | 19.5 | 32.5 | 青函トンネル記念館: 青函トンネル竜飛斜坑線 |
外ヶ浜町 | 1988(昭和63)年3月13日 廃止:2014(平成26)年3月15日 |
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(臨)吉岡海底駅 (廃止) |
よしおかかいてい | 23.0 | 55.5 | (全列車通過) | 北 海 道 |
松 前 郡 |
福島町 | 1988(昭和63)年3月13日 廃止:2014(平成26)年3月15日 |
知内信号場(旧知内駅) | しりうち | 20.5 | 76.0 | 上 磯 郡 |
知内町 | 1988(昭和63)年3月13日(信号場として) 1990(平成2)年7月1日(鉄道駅として) 2014(平成26)年3月15日(信号場へ) |
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木古内駅 | きこない | 11.8 | 87.8 | 木古内町 | 1930(昭和5)年10月25日 ※江差線の駅として |
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1.海峡線の列車はすべて通過するため、中小国駅での列車の乗り換えはできない 2.海底駅見学整理券利用見学者のみ乗降可能 |
年表 | |
1988(昭和63)年3月13日 | 海峡線中小国〜木古内駅間 (87.8km) 開業。 |
1990(平成2)年7月1日 | 新湯の里信号場が旅客駅化され、知内駅として開業。 |
2002(平成14)年12月1日 | 快速「海峡」が廃止され、津軽海峡線の普通列車が消滅したことに伴い、同線を通過する旅客列車が急行・特急列車のみとなる。 |
2006(平成18)年3月18日 | 吉岡海底駅への定期列車の停車を終了。 |
2006(平成18)年8月28日 | 吉岡海底駅が全列車通過となり、臨時駅となる。 |
2013(平成25)年11月11日 | 竜飛海底駅の見学コース終了に伴い、竜飛海底駅が全列車通過となる。 |
2014(平成26)年3月15日 | 竜飛海底駅・吉岡海底駅・知内駅が廃止。竜飛海底駅、吉岡海底駅はそれぞれ竜飛定点、吉岡定点となり、知内駅は知内信号場となる。 |
2015(平成27)年4月3日 | 青函トンネル内を走行していた特急「スーパー白鳥34号」の車両下で発煙する事故が発生し、青函トンネル開業後初めて、乗客・乗員が竜飛定点を経由して地上へ避難する事態になった。同月10日にはこの事故を受け、避難誘導マニュアルの改訂がなされる記者会見がなされた。また、7日に社内委員会を設置したと発表された。 |
2015(平成27)年8月10日 | 北海道新幹線関連工事に伴い、同日限りで津軽今別駅が全列車通過となる。 |
2015(平成27)年8月21日 | EH800形電気機関車の故障が発生。札幌貨物ターミナル駅行きの貨物列車運行において知内町側の出口まで約5km地点のトンネル内で緊急停車し、電圧の変換装置を電流停止の応急処置後に運転再開、木古内駅へ到着後にJR貨物社員が故障を確認した。JR北海道の発表では、この故障の障害の影響で特急列車4本が最大53分遅延した。 |
2015(平成27)年12月31日 | 同日深夜から2016(平成28)年1月2日早朝にかけて、北海道新幹線開業に備えた地上設備最終切り替えの事前確認実施に伴い全面封鎖。そのため、2016(平成28)年1月1日は貨物列車含めて終日運休。 |
2016(平成28)年3月21日 | この日をもって特急「白鳥」・「スーパー白鳥」、急行「はまなす」の運行が終了。 |
2016(平成28)年3月22日 | 架線電圧を交流20,000 V・50 Hzから交流25,000 V・50 Hzに昇圧。 |
2016(平成28)年3月22日 〜25日 |
北海道新幹線の開業準備に伴い、特急「白鳥」・「スーパー白鳥」、急行「はまなす」を全区間運休。貨物列車については平常通り運行。 |
2016(平成28)年3月26日 | 北海道新幹線の新青森駅〜新函館北斗駅間開業に伴い、新中小国信号場〜木古内駅間が三線軌条による新幹線・在来線の共用区間となる。津軽今別駅を廃止し、津軽今別駅の位置に奥津軽いまべつ駅が開業。特急「白鳥」・「スーパー白鳥」、急行「はまなす」が廃止され、同線を運行する在来線定期旅客列車が消滅。また、臨時寝台特急「カシオペア」も廃止。 |
2016(平成28)年6月4日 | 「カシオペアクルーズ」より団体臨時列車という形で在来線の旅客列車が運行再開。 |