◆阿武隈急行線(旧国鉄丸森線)(福島県・宮城県)◆

◆2012年3月24日(土)、2022年10月22日(土)、10月23日(日)、2023年6月11日(日)、6月12日(月)撮影
(概要)
 阿武隈急行線(あぶくまきゅうこうせん)は、福島県福島市の福島駅から宮城県柴田郡柴田町の槻木駅に至る阿武隈急行が運営する鉄道路線である。旧国鉄特定地方交通線及び日本鉄道建設公団建設線であった丸森線(まるもりせん)を引き継いだものである。

 地元では「あぶきゅう」の愛称で親しまれている。

(歴史)
 戦後、輸送量が増加した東北本線などの主要幹線では、輸送力強化が急務となっていたが、東北本線の場合は、福島県から宮城県の間、特に越河(こすごう)の峠付近での急勾配が大きな問題となっていて、上野〜仙台以北の優等列車のほとんどは勾配の緩い常磐線を経由したものであった。

 そこで、峠を回避する新線計画が持ち上がった。これが現在の阿武隈急行線(旧丸森線)であった。
 改正鉄道敷設法別表第27号に「福島県福島ヨリ宮城県丸森ヲ経テ中村(常磐線相馬)ニ至ル鉄道及丸森ヨリ分岐シテ白石ニ至ル鉄道」として計画されていた予定線のうち、阿武隈川に沿う部分が勾配緩和ルートとして注目され、1953(昭和28)年8月に第21号の2「宮城県槻木付近ヨリ丸森ニ至ル鉄道」が予定線に追加。第27号の福島〜丸森間と合わせて1964(昭和39)年に着工された。

 1968(昭和43)年に槻木〜丸森間が完成し、丸森線として暫定的に開業したものの、この間に東北本線では馬力のある新型列車の投入により、急峻な峠越えの問題が克服されたために、東北本線の輸送力強化は現在の路線の複線電化にするという方針に変わり、丸森線の残り区間の建設は中止になった。この未成区間(丸森〜福島間)は、鉄橋とトンネルが完成してレールが敷かれ、あとは駅設備を残すのみという状態であった。
 またもともと、東北本線の新線の予定だったので、CD線(主要幹線及び大都市交通線)規格で作られ、全線で踏切のない立体交差になっていたが、輸送力優先による線形優先のため、人口密集地帯を路線が通らずに郊外の不便な位置に駅が作られたこと、また宮城県方面にしか行けないという不便さから、沿線住民にとっては使いづらい路線となった。そのため、利用者が伸び悩み、丸森線の経営を圧迫する要因ともなった。当然の結果として、赤字はふくらみ、1971(昭和46)年には営業係数が2404となり、「日本有数の赤字線」と揶揄されることもあった。1980(昭和55)年に鉄道再建法が施行されると、丸森線は1981(昭和56)年に第一次特定地方交通線として承認され、廃止を待つ身となった。

 しかし、福島・宮城両県は、福島〜槻木間が全線開通した場合、福島〜仙台間の都市間輸送や近郊輸送、阿武隈川の観光開発が期待できることから、丸森線を既開業区間と未成区間共々引き継ぐ第三セクター鉄道会社の「阿武隈急行株式会社」を設立した。1986(昭和61)年7月に既開業線を先行して非電化のまま暫定開業し、全通・電化はその2年後の1988(昭和63)年7月である。なお、工事再開に当たってはAB線(地方開発線・地方新線)に変更している。このため、駅の交換設備を極力省略したため、駅構内各所に空き地が点在することとなったのはその名残といえる。

福島〜矢野目信号場〜卸町間にある東北本線と阿武隈急行線との分岐点である矢野目信号場を萩の目踏切より撮影。
左直通が東北本線下り(青森方面)、左の信号機付近で分岐しているのが東北本線と阿武隈急行線との連絡線(下写真参照)。中央が東北本線上り(上野方面)、右に分岐しているのが阿武隈急行線。
(2013年9月22日(日)撮影)

東船岡〜船岡間にある東北本線と阿武隈急行線との分岐点。
左の単線が東北本線(上り線)、右の複線の左側が阿武隈急行線、右が東北本線(下り線)。
(2023年6月12日(月)撮影)

東船岡〜船岡間にある東北本線と阿武隈急行線との分岐点。
木で見えにくくなっているが、左からアンダーパスしているのが東北本線(上り線)、右の一段高くなっているのが阿武隈急行線。
(2023年6月12日(月)撮影)

東船岡〜船岡間にある東北本線と阿武隈急行線との分岐点。
右上の写真を自動車跨線橋より望遠で撮影。左からアンダーパス(ちょうど電車が通過中)しているのが東北本線(上り線)、中央の一段高くなっていて直進しているのが阿武隈急行線、右でカーブしているのが東北本線(下り線)。
(2023年6月12日(月)撮影)

東船岡〜船岡間にある東北本線と阿武隈急行線との分岐点。
左の写真を自動車跨線橋よりさらに望遠で撮影。中央の直進しているのが阿武隈急行線、右でカーブしているのが東北本線(下り線)。
(2023年6月12日(月)撮影)
旧国鉄
時代
駅名 駅間
営業
キロ
累計
営業
キロ
所在地 開業日
(漢字表記) (よみ)


福島駅 ふくしま - 0

福島市 1942(昭和17)年12月3日
※福島交通飯坂線駅として
矢野目信号場 - (4.7) -
卸町駅 おろしまち 5.6 5.6 1988(昭和63)年7月1日
福島学院前駅 ふくしまがくいんまえ 0.9 6.5 2000(平成12)年3月11日
瀬上駅 せのうえ 1.0 7.5 1988(昭和63)年7月1日
向瀬上駅 むかいせのうえ 1.1 8.6 1988(昭和63)年7月1日
高子駅 たかこ 1.5 10.1 伊達市 1988(昭和63)年7月1日
上保原駅 かみほばら 1.4 11.5 1988(昭和63)年7月1日
保原駅 ほばら 1.3 12.8 1988(昭和63)年7月1日
大泉駅 おおいずみ 1.1 13.9 1988(昭和63)年7月1日
二井田駅 にいだ 1.5 15.4 1988(昭和63)年7月1日
新田駅 にった 1.6 17.0 1988(昭和63)年7月1日
梁川駅 やながわ 1.3 18.3 1988(昭和63)年7月1日
やながわ希望の森公園前駅 やながわきぼうのもりこうえんまえ 1.7 20.0 1988(昭和63)年7月1日
富野駅 とみの 2.1 22.1 1988(昭和63)年7月1日
兜駅 かぶと 3.1 25.2 1988(昭和63)年7月1日
あぶくま駅 あぶくま 4.2 29.4

伊具郡
丸森町
1988(昭和63)年7月1日


丸森駅 まるもり 8.1 37.5 1968(昭和43)年4月1日
北丸森駅 きたまるもり 1.7 39.2 1986(昭和61)年7月1日
南角田駅 みなみかくだ 2.4 41.6 角田市 1986(昭和61)年7月1日
角田駅 かくだ 1.7 43.3 1968(昭和43)年4月1日
横倉駅 よこくら 1.9 45.2 1986(昭和61)年7月1日
岡駅 おか 1.5 47.7 1968(昭和43)年4月1日
東船岡駅 ひがしふなおか 3.6 51.3 柴田郡
柴田町
1968(昭和43)年4月1日
槻木駅 つきのき 3.6 54.9 1891(明治24)年1月12日
※東北本線の駅として

年表
1968(昭和43)年4月1日 丸森線として槻木〜丸森 (17.4km) が開業。横橋・岡・角田・丸森の各駅を新設。
1981(昭和56)年9月11日 第1次特定地方交通線として廃止承認。
1986(昭和61)年7月1日 国鉄丸森線の槻木〜丸森 (17.4km) が廃止。阿武隈急行の阿武隈急行線として槻木〜丸森 (17.4km) が転換開業。横倉・南角田・北丸森の各駅新設、横橋を東船岡に改称。東北本線槻木〜仙台間に乗り入れ開始。
1988(昭和63)年7月1日 福島〜丸森 (37.5km) が延伸開業、全通。卸町・瀬上・向瀬上・高子・上保原・保原・大泉・二井田・新田・梁川・やながわ希望の森公園前・富野・兜・あぶくま各駅を新設、矢野目信号場を新設。福島(矢野目信号場)〜槻木を電化(交流50Hz・20kV)。東北本線郡山〜富野間で相互直通運転開始。
2000(平成12)年3月11日 福島学院前駅を新設。
2005(平成17)年12月10日 梁川〜槻木間の一部の列車でワンマン運転の列車を拡大。
2006(平成18)年3月18日 梁川〜槻木間のほとんどの列車がワンマン運転化。福島を早朝(5, 6時)に発着する列車と、日中の11〜14時台に発着する列車がワンマン運転を開始。夜の槻木発の最終列車が金・土曜日・休前日に限り梁川駅まで延長される。
2008(平成20)年10月30日 JRからの譲渡車A417系が富野〜福島間の朝限定で運用開始(2009年3月16日から平日夕方にも運用開始)。
2011(平成23)年3月11日 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)が発生。地震直後から全線で運転を見合わせ。
2011(平成23)年4月6日 梁川〜保原間で運転を再開。なおサービス列車としての運行であり運賃は無料であった。
2011(平成23)年4月13日 梁川〜富野間で運転を再開。引き続きサービス列車としての運行であり運賃は無料であった。
2011(平成23)年4月18日 瀬上〜保原間と角田〜槻木間が運転を再開。
2011(平成23)年4月28日 福島〜瀬上間が運転を再開。
2011(平成23)年5月16日 富野〜角田間が運転を再開し、全線復旧。
wikipediaより参照
TOP旅の記録路線各駅巡礼写真のページ>阿武隈急行線(旧丸森線)(福島県・宮城県)