小坂製錬小坂線(通称:小坂鉄道)(秋田県)
3.長木沢支線(茂内駅〜長木沢駅)

◆2014年4月20日(日)撮影
1.大館駅〜深沢駅
2.茂内駅〜小坂駅
3.長木沢支線(茂内駅〜長木沢駅)
4.小坂鉱山専用線(仮称)(小坂駅〜小坂鉱山)
 小坂線はもともと、長木村の木材を大館市に運ぶため二ツ屋(長木沢)まで開通していた森林鉄道を小坂鉱山が譲り受け、現在の茂内駅から小坂まで分岐延長し専用鉄道として開業したのが始まりで、茂内〜二ツ屋(長木沢)間は長木沢支線と改称されて貨物専用から一般営業となった。
 終点の二ツ屋(長木沢)駅では長木沢森林鉄道と接続しており貯木場がおかれ、従業員500人を超える県内第2位の規模をもつ藤田組長木沢製材所で加工された木材や小坂鉱山の煙害により切り出された長木沢の天然杉が全国に搬出されていた。1920年になり製材所が大館に移転し、1922年に国有林の整理伐採事業が中止されてしまう。このため長木沢支線は1926年7月末をもって旅客営業と手荷物、小口扱い貨物の取扱いを廃止した。1925年ころの時間表は長木沢駅発が午前7時15分と午後4時。着便が午前7時と午後3時24分で所要時間12分であった。さらに貨物も激減したことから全列車が不定期となった。
 その後1949年度を最後に休止状態となったため1951年廃止となった。長木沢森林鉄道は長木沢支線が廃止になると茂内駅まで延長することになった。この森林鉄道は客車を所有しており便乗が認められていた。

 最終的にこの区間の廃線時期は1967(昭和42)年に長木沢森林鉄道としてであり、路線跡は道路に転用された。
wikipediaより一部改変)

国土地理院発行地形図5万分の1地形図(大館)(H13.8.1発行)を引用

国土地理院発行地形図5万分の1地形図(大館)(S22.8.30発行)を引用
@茂内駅
旅客営業廃止後も、この駅は貨物列車行き違いのために引き続き使用されていました。現在は駅舎、閉塞機、腕木信号機および転轍テコが残されています。
茂内駅からはかつて長木沢支線(1951(昭和26年)廃止)が伸びていました。

茂内駅の大館側にある腕木式信号機。

かつては全国のローカル線で見られた腕木式信号機も、現在ではほとんど見られなくなりました。
下の黄色いのが通過信号機といって、これまた貴重なものです。

腕木式信号機から転轍小屋へと伸びているワイヤー。積雪対策のためなのか、高い位置に設置されています。

ワイヤーの回転部にはこれも積雪対策のためか傘が付けられています。
(2014年6月1日(日)撮影)

現在も残されている駅舎。

ホーム側から駅舎を撮影。「しげない」の駅名標と「小坂まで8.4km、大館まで13.9km」の標識。

駅舎内の駅事務室には閉塞機がありました。

上り(大館方面)

下り(小坂方面)

茂内駅は列車交換を行う駅であり、通行票であるタブレットを通過しなら授受する光景が見られた。駅員はここにタブレットをセットし、走行する機関車の機関士は窓から腕を伸ばして、タブレットを受け取っていた。
(2014年6月1日(日)撮影)

反対方向から撮影。
(2014年6月1日(日)撮影)

タブレットキャッチャー。機関士は機関車の窓から身を乗り出して、この螺旋状のところにタブレットを投げ入れた。
(2014年6月1日(日)撮影)

今も残されている転轍テコ。このテコを押したり引いたりして腕木式信号機を操作していました。

駅名標

側線が2,3本ありますが。茂内駅〜小坂駅間には急勾配区間があったため、補助機関車の切り離しが行われていたので、そのためのものかもしれません。

駅構内には無蓋車が半ば放置されていました。
大館側のボギー台車はトキ15014。小坂側の二軸車はトラ4001。

トキ15014

トラ4001
A茂内駅小坂側構内

茂内駅にある側線を小坂側に進むと行き止まりになりますが、かつては左へと長木沢支線が通っていました。現在は明確な痕跡は残されていませんが、おそらくこの辺りで分岐していたと思います。

上り(茂内方面)
右側にある未舗装路が路線跡と見られます。

下り(長木沢方面)
この先、路線跡は道路化されています。

この先、かつてここに路線あったと思わせる、緩やかな線形となっています。
B石淵集落

路線跡は石淵集落を迂回するように右側に伸びていました。

一見すると普通の小屋に見えますが・・・

土台として使われている杭を見ると、なにやらレールのような形をしています。

よく見てみるとやはりレールでした。

全部で3本ほど確認できました。
C石淵集落付近

この路線跡は自動車のすれ違いが出来ない狭いもので、かつての鉄道時代の雰囲気を残しています。
D石渕橋梁(仮称)

この路線の唯一の大きな遺構です。茂内側と長木沢側に橋台が残されています。

上り(茂内方面)の橋台。

下り(長木沢方面)の橋台。

長木沢側の橋台から続く築堤は、後年の水田開発のために崩されていました。

橋梁と並行して架けられている道路の橋梁には「石渕橋」のプレートがありました。

秋田営林局のプレートがありましたので、この橋は林道として敷設されたことを示しています。
橋竣工のプレートは長木沢駅方面の橋柱にありましたが、別の看板に隠れて見えませんでした。「1964(昭和39)年」とかろうじて確認できました。長木沢森林鉄道の廃線は1967(昭和42)年なので、廃線前の架橋と言うことになります。
E長木沢駅跡
たぶんこの辺りと思いますが、駅跡の痕跡が残されていませんので、あくまでも推定です。
かつてはここに貯木場が設置され、材木が積まれていました。また周辺には郵便局と小学校もあったそうですが、今ではその面影は全くありません。

上り(茂内方面)

下り(終点)
左手に延びる道路は「長木沢林道」の始点で、かつては森林鉄道でした。

・長木沢支線(1951年廃止時)
駅名 駅間
営業
キロ
累計
営業
キロ
所在地 開業年月日 備考
(漢字表記) (よみ)
茂内駅 しげない - 0.0

北秋田郡
長木村
1909(明治42)年5月7日  
長木沢駅 ながきさわ 3.8 3.8 1909(明治42)年5月7日  

歴史
1908(明治41)年2月16日 仮免許状下付(鹿角郡小坂村〜北秋田郡大館村間、北秋田郡長木村字茂内屋敷〜同郡同村字二ツ屋間)
1908(明治41)年9月15日 藤田組(DOWAホールディングスの前身)が大館〜小坂間、茂内〜二ツ屋(後の長木沢)間に小坂鉱山専用鉄道(軌間762mm)年を開設。
1909(明治42)年1月25日 小坂鉄道株式会社が設立。
1909(明治42)年5月7日 専用鉄道を改修し、小坂鉄道小坂線・長木沢支線として一般営業を開始。大館駅、岱野駅、茂内駅、小坂駅、二ツ屋駅(後の長木沢駅)年が開業。
1920(大正9)年5月1日 二ツ屋駅を長木沢駅に改称。
1926(大正15)年7月31日 長木沢支線 旅客営業と手荷物、小口扱い貨物の取扱いを廃止。
1951(昭和26)年4月5日 長木沢支線の茂内〜長木沢間が廃止。かわりに長木沢駅で接続していた長木沢森林鉄道が茂内駅まで路線を延長する。
1967(昭和42)年 長木沢森林鉄道が廃止。

wikipediaより)

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