(概要) 花輪線(はなわせん)は、秋田県大館市の大館駅から岩手県盛岡市の好摩駅を結ぶ、東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線(地方交通線)。 基本的には、大館駅〜IGRいわて銀河鉄道線盛岡駅間通しの運行である(JRの乗務員もIGR盛岡〜花輪線通し乗務)。 自家用車の普及や沿線人口の減少、さらに並行する東北自動車道を走る高速バスとの競争にて劣勢に追い込まれたことにより、上野駅や秋田駅に直通していた急行列車の設定もなくなり、他の列車も減便された。2009年現在の運転間隔は1〜3時間に1本程度と開いており、国鉄時代にあった交換設備が撤去された駅も多い。 (歴史) 花輪線の建設は、鹿角花輪(旧・陸中花輪)を境に2つに分かれる。先に開業したのは大館側で、こちらは私鉄の秋田鉄道(あきたてつどう)として1914(大正3)年から1923(大正12)年にかけて陸中花輪までが全通した。このうち、毛馬内(十和田南)〜陸中花輪間は、改正鉄道敷設法別表第5号に規定する予定線「青森県三戸ヨリ秋田県毛馬内ヲ経テ花輪ニ至ル鉄道」の一部である。 一方、好摩側は国が軽便鉄道法により計画した区間で、花輪線として1922(大正11)年から順次開業し、1931(昭和6)年に陸中花輪まで延伸され、秋田鉄道に接続した。1934(昭和9)年には、秋田鉄道が買収・国有化のうえ花輪線に編入され、名実ともに東北横断ルートとして完成した。 |
好摩駅1番ホーム下にあるゼロキロポスト。 (2014年7月12日(土)撮影) |
好摩駅八戸方向にある花輪線といわて銀河鉄道線との分岐点。左にそれているのがJR花輪線で、直進しているのがいわて銀河鉄道線。 (2014年7月12日(土)撮影) |
奥羽本線(直進)と花輪線(左右)との空中交差地点。 (2014年4月20日(日)撮影) |
駅名 | 駅間営業 キロ |
累計 営業 キロ |
所 在 地 |
開業日 | ||
(漢字表記) | (よみ) | |||||
好摩駅 | こうま | - | 0 | 岩 手 県 |
盛 岡 市 |
1891(明治24)年9月1日 ※東北本線の駅として |
東大更駅 | ひがしおおぶけ | 4.9 | 4.9 | 八 幡 平 市 |
1960(昭和35)年12月1日 | |
大更駅 | おおぶけ | 4.1 | 9.0 | 1922(大正11)年8月27日 | ||
平館駅 | たいらだて | 4.7 | 13.7 | 1922(大正11)年8月27日 | ||
北森駅(移転後) | きたもり | 1.3 | 15.0 | 1961(昭和36)年4月20日 | ||
北森駅(移転前) | - | 15.6 | ||||
松尾八幡平駅 | まつおはちまんたい | 2.8 | 17.8 | 1926(大正15)年11月10日 | ||
安比高原駅 | あっぴこうげん | 7.2 | 25.0 | 1961(昭和36)年12月28日 | ||
赤坂田駅 | あかさかた | 5.0 | 30.0 | 1926(大正15)年11月10日 | ||
小屋の畑駅 | こやのはた | 3.6 | 33.6 | 1960(昭和35)年12月1日 | ||
荒屋新町駅 | あらやしんまち | 4.0 | 37.6 | 1927(昭和2)年10月30日 | ||
横間駅 | よこま | 2.7 | 40.3 | 1966(昭和41)年11月1日 | ||
田山駅 | たやま | 8.8 | 49.1 | 1929(昭和4)年10月25日 | ||
兄畑駅 | あにはた | 6.7 | 55.8 | 1931(昭和6)年10月17日 | ||
湯瀬温泉駅 | ゆぜおんせん | 4.1 | 59.9 | 秋 田 県 |
鹿 角 市 |
1931(昭和6)年10月17日 |
八幡平駅 | はちまんたい | 4.3 | 64.2 | 1931(昭和6)年10月17日 | ||
陸中大里駅 | りくちゅうおおさと | 1.9 | 66.1 | 1960(昭和35)年12月1日 | ||
鹿角花輪駅 | かづのはなわ | 3.6 | 69.7 | 1923(大正12)年11月10日 | ||
柴平駅 | しばひら | 4.7 | 74.4 | 1923(大正12)年11月10日 | ||
十和田南駅 ※十和田南駅の謎について |
とわだみなみ | 3.3 | 77.7 | 1920(大正9)年7月4日 | ||
末広駅 | すえひろ | 4.5 | 82.2 | 1915(大正4)年12月25日 | ||
土深井駅 | どぶかい | 2.4 | 84.6 | 1915(大正4)年12月25日 | ||
沢尻駅 | さわじり | 2.0 | 86.6 | 大 館 市 |
1928(昭和3)年7月11日 | |
十二所駅 | じょうにしょ | 3.0 | 89.6 | 1915(大正4)年12月25日 | ||
大滝温泉駅 | おおたきおんせん | 2.5 | 92.1 | 1915(大正4)年1月19日 | ||
扇田駅 | おうぎた | 6.5 | 98.6 | 1914(大正3)年7月1日 | ||
東大館駅 | ひがしおおだて | 4.7 | 103.3 | 1914(大正3)年7月1日 | ||
大館駅 | おおだて | 3.6 | 106.9 | 1899(明治32)年11月15日 ※奥羽本線の駅として |
国有鉄道花輪線 | |
1922(大正11)年8月27日 | 【開業】好摩〜平館 【駅新設】大更、平館 |
1926(大正15)年11月10日 | 【延伸開業】平館〜赤坂田 【駅新設】岩手松尾、赤坂田 【信号場新設】龍ヶ森 |
1927(昭和2)年10月30日 | 【延伸開業】赤坂田〜荒屋新町 【駅新設】荒屋新町 |
1929(昭和4)年10月25日 | 【延伸開業】荒屋新町〜田山 【駅新設】田山 |
1931(昭和6)年10月17日 | 【延伸開業】田山〜陸中花輪 【駅新設】兄畑、湯瀬、小豆沢、(陸中花輪は秋田鉄道の駅として既設) |
秋田鉄道 | |
1914(大正3)年7月1日 | 【開業】大館〜扇田 【駅新設】片山(停留場)、東大館、池内(停留場)、扇田 |
1915(大正4)年1月19日 | 【延伸開業】扇田〜大滝温泉 【駅新設】南扇田(停留場)、大滝温泉 |
1915(大正4)年12月25日 | 【延伸開業】大滝温泉〜(貨)毛馬内 【貨物駅新設】十二所、尾去沢、毛馬内(初代) |
1916(大正5)年1月5日 | 【旅客営業開始】大滝温泉〜毛馬内 【貨物駅→駅】十二所、尾去沢、毛馬内 |
1920(大正9)年5月1日 | 【駅名改称】毛馬内→末広 |
1920(大正9)年7月4日 | 【延伸開業】末広〜毛馬内(2代) 【駅新設】毛馬内(2代) |
1923(大正12)年11月10日 | 【延伸開業】毛馬内〜陸中花輪 【駅新設】柴平 |
1928(昭和3)年7月11日 | 【駅新設】沢尻(停留場) |
1929(昭和4)年4月5日 | 【駅新設】片山(停留場)、鏡田(停留場) |
1929(昭和4)年12月4日 | 【停留場→季節停留場】片山、池内、南扇田、沢尻、鏡田 |
秋田鉄道買収・編入後 | |
1934(昭和9)年6月1日 | 【買収】秋田鉄道を国有化し花輪線に編入 【季節停留場→駅】沢尻、南扇田 【季節停留場廃止】鏡田、池内、片山 |
1942(昭和17)年4月1日 | 【駅名改称】尾去沢→土深井 |
1944(昭和19)年11月11日 | 【駅休止】南扇田 |
1957(昭和32)年4月1日 | 【駅名改称】小豆沢→八幡平 |
1957(昭和32)年6月1日 | 【駅名改称】毛馬内→十和田南 |
1960(昭和35)年12月1日 | 【駅新設】東大更、小屋の畑、陸中大里 |
1961(昭和36)年4月20日 | 【駅新設】北森 |
1961(昭和36)年12月28日 | 【信号場→駅】龍ヶ森 |
1966(昭和41)年11月1日 | 【駅新設】横間 |
1971(昭和46)年9月30日 | 無煙化(8620) |
1984(昭和59)年2月1日 | 【貨物営業廃止】全線 |
1987(昭和62)年4月1日 | 【承継】東日本旅客鉄道 |
1988(昭和63)年3月13日 | 【駅名改称】岩手松尾→松尾八幡平、龍ヶ森→安比高原 |
1995(平成7)年12月1日 | 【駅名改称】湯瀬→湯瀬温泉、陸中花輪→鹿角花輪 |
1998(平成10)年12月 | 好摩〜大更間特殊自動閉塞化 |
1999(平成11)年7月 | 大更〜荒屋新町間特殊自動閉塞化 |
1999(平成11)年12月4日 | 荒屋新町〜大館間特殊自動閉塞化、全線CTC化 |
2002(平成14)年12月1日 | 東北本線盛岡〜目時間がIGRいわて銀河鉄道に移管され、東北本線との直通運転からいわて銀河鉄道線への直通運転に変更される。 |
2007(平成19)年9月17日 | 大雨によって岩手県内の川沿いの線路の土砂が崩れた影響で、松尾八幡平〜鹿角花輪間が不通となる。20日からバス代行輸送開始。 |
2007(平成19)年9月28日 | 松尾八幡平〜荒屋新町間が復旧。 |
2007(平成19)年10月6日 | 荒屋新町〜鹿角花輪間復旧。バス代行輸送終了。 |
2009(平成21)年3月14日 | 松尾八幡平〜盛岡間区間運転列車すべて廃止。 |