(概要) 米坂線(よねさかせん)は、山形県米沢市の米沢駅から新潟県村上市の坂町駅を結ぶ東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線(地方交通線)。 (歴史) 旧鉄道敷設法に規定する「北越線及奥羽線ノ連絡線」で、「新潟県下新発田ヨリ山形県下米沢ニ至ル鉄道」である。1926(大正15)年に山形県側の米沢〜今泉間が米坂線として開業。1931(昭和6)年には新潟県側の米坂西線(よねさかさいせん)坂町〜越後下関間が開業し、同時に東側も手ノ子まで延伸、米坂東線(よねさかとうせん)に改称された。以降、両側から延伸を繰り返し、1936(昭和11)年の県境区間を最後に全通し、両線を統合。再び米坂線となった。 現在のJRの路線名で、複数の地名から一文字ずつを取って付けられた名称の中では、大糸線と並んで両方の文字を訓読みする例外の一つである(通常は音読み)。 かつては南東北地方の日本海側〜内陸(〜太平洋側)間連絡線(主に新潟〜山形・仙台間)として旅客・貨物ともに重要な路線であったが、現在ではモータリゼーション等により連絡線的役割は影を潜め、貨物営業も廃止されたため、地方の一ローカル線に成り果ててしまった。また、陸羽西線とともに羽越線不通時の優等列車迂回路としての役割も持っていたが、羽越線電化(=優等列車の電車化)によりその役割は大きく減り、さらに奥羽本線の改軌により完全にその役割を終えた。 |
|
米沢駅にあるはずの米坂線のゼロキロポストは発見できませんでしたが、4番ホームの車止めに65m地点のペイントを発見。 (2015年6月21日(日)撮影) |
65m地点のペイント。 (2015年6月21日(日)撮影) |
米沢駅の福島方面(上り)にある跨線橋より撮影した分岐点。 奥羽本線(左)と米坂線(右)。 (2015年6月21日(日)撮影) |
今泉駅の米沢・赤湯方面(上り)にある跨線橋より撮影した分岐点。 山形鉄道フラワー長井線(左)と米坂線(右)。 (2016年11月18日(金)撮影) |
今泉駅の坂町・荒砥方面(下り)にある旧白川信号場より撮影した分岐点。 米坂線(左)と山形鉄道フラワー長井線(右)。 (2016年11月18日(金)撮影) |
坂町駅の秋田方面(下り)にある跨線橋(県道182号)から撮影した分岐点。 羽越本線(直進)と米坂線(右)。 (2015年3月21日(土)撮影) |
駅名・信号場名 | 駅間 営業 キロ |
累計 営業 キロ |
所在地 | 開業日 | ||
(漢字表記) | (よみ) | |||||
米沢駅 | よねざわ | - | 0.0 | 山 形 県 |
米沢市 | 1899(明治32)年5月15日 ※奥羽本線の駅として |
南米沢駅 | みなみよねざわ | 3.1 | 3.1 | 1926(大正15)年9月28日 | ||
西米沢駅 | にしよねざわ | 3.4 | 6.5 | 1926(大正15)年9月28日 | ||
成島駅 | なるしま | 3.1 | 9.6 | 1961(昭和36)年7月7日 | ||
中郡駅 | ちゅうぐん | 2.9 | 12.5 | 東置賜郡 川西町 |
1926(大正15)年9月28日 | |
羽前小松駅 | うぜんこまつ | 4.4 | 16.9 | 1926(大正15)年9月28日 | ||
犬川駅 | いぬかわ | 2.5 | 19.4 | 1926(大正15)年9月28日 | ||
今泉駅 | いまいずみ | 3.6 | 23.0 | 長井市 | 1914(大正3)年11月15日 ※長井線の駅として |
|
白川信号場(廃止) | しらかわ | - | - | 1931(昭和6)年8月10日 廃止:1984(昭和59)年2月1日 |
||
萩生駅 | はぎゅう | 4.3 | 27.3 | 西置賜郡 飯豊町 |
1931(昭和6)年8月10日 | |
羽前椿駅 | うぜんつばき | 2.8 | 30.1 | 1931(昭和6)年8月10日 | ||
手ノ子駅 | てのこ | 4.6 | 34.7 | 1931(昭和6)年8月10日 | ||
羽前沼沢駅 | うぜんぬまざわ | 9.2 | 43.9 | 西置賜郡 小国町 |
1933(昭和8)年11月10日 | |
伊佐領駅 | いさりょう | 6.1 | 50.0 | 1935(昭和10)年10月30日 | ||
羽前松岡駅 | うぜんまつおか | 4.7 | 54.7 | 1935(昭和10)年10月30日 | ||
小国駅 ※古レールについて | おぐに | 3.6 | 58.3 | 1935(昭和10)年10月30日 | ||
玉川口駅(廃止) | たまがわぐち | 9.5 | 63.6 | 1936(昭和11)年8月31日 廃止:1995(平成7)年12月1日 |
||
越後金丸駅 | えちごかなまる | 67.8 | 新 潟 県 |
岩船郡 関川村 |
1933(昭和8)年11月30日 | |
越後片貝駅 | えちごかたかい | 5.3 | 73.1 | 1933(昭和8)年11月30日 | ||
越後下関駅 | えちごしもせき | 6.6 | 79.7 | 1931(昭和6)年8月10日 | ||
越後大島駅 | えちごおおしま | 3.8 | 83.5 | 1931(昭和6)年8月10日 | ||
花立駅(廃止) | はなだて | 7.2 | 86.2 | 村上市 | 1958(昭和33)年7月10日 廃止:1995(平成7)年12月1日 |
|
坂町駅 | さかまち | 90.7 | 1914(大正3)年11月1日 ※羽越本線の駅として |
|||
※2022年JR米坂線洪水被害 |
年表 | |
米坂東線 | |
1926(大正15)年9月28日 | 米沢〜今泉 (23.0km) が米坂線として新規開業。南米沢・西米沢・中郡・羽前小松・犬川の各駅を新設(今泉は既設)。 |
1931(昭和6)年8月10日 | 今泉〜手ノ子 (11.7km) を延伸開業。米坂線を米坂東線と線名改称、白川信号所、萩生・羽前椿・手ノ子の各駅を新設。 |
1933(昭和8)年11月10日 | 手ノ子〜羽前沼沢 (9.2km) を延伸開業。羽前沼沢駅を新設。 |
1935(昭和10)年10月30日 | 羽前沼沢〜小国 (14.4km) を延伸開業。伊佐領・羽前松岡・小国の各駅を新設。 |
米坂西線 | |
1931(昭和6)年8月10日 | 坂町〜越後下関 (11.0km) を米坂西線として新規開業。越後大島・越後下関の各駅を新設。 |
1933(昭和8)年11月30日 | 越後下関〜越後金丸 (11.9km) を延伸開業。越後片貝・越後金丸の各駅を新設。 |
米坂線 | |
1936(昭和11)年8月31日 | 小国〜越後金丸 (9.5km) を延伸開業。米沢〜坂町 (90.7km) が全通し米坂線と線名改称、玉川口駅を新設。 |
1940(昭和15)年3月5日 | 小国〜玉川口間の荒川橋梁が雪崩のため崩壊、直後に通過した米沢発坂町行列車の機関車などが25m下の荒川に転落。列車の暖房器具から出火するなどで乗客24名と職員6名が死亡。のちに当該現場に『慰霊碑』建立。 |
1958(昭和33)年7月10日 | 花立駅を新設。 |
1961(昭和36)年7月7日 | 成島駅を新設。 |
1963(昭和38)年1月25日 | 『小国三八豪雪』のため、10日間にわたる運転見合わせ。 |
1971(昭和46)年6月7日 | 花立〜坂町間走行の121Dにコンクリートミキサー車が衝突。1, 2両目が脱線転覆(重軽傷21名)。 |
1982(昭和57)年3月11日 | 西米沢〜今泉(白川信号場)間CTC試使用開始、CTCセンターは今泉駅に設置。 |
1982(昭和57)年3月20日 | 西米沢〜今泉(白川信号場)間CTC本使用開始、米沢〜西米沢間は東北・上越新幹線の本格営業開始後、西米沢の停留所化後に使用開始予定。 |
1982(昭和57)年11月14日 | 米沢〜西米沢間CTC使用開始。 |
1983(昭和58)年2月28日 | 今泉(白川信号場)〜坂町間CTC化。 |
1984(昭和59)年3月1日 | 白川信号場を廃止、今泉駅に統合。 |
1987(昭和62)年4月1日 | 国鉄分割民営化により東日本旅客鉄道が承継、米沢〜坂町の貨物営業を廃止。 |
1995(平成7)年12月1日 | 玉川口・花立の両駅を廃止(JR東日本管内の廃駅は特定地方交通線の第三セクターへの転換をのぞけば1987年4月の同社発足以来初めて)。 |
2004(平成16)年7月14日 | 前日から降り続いた新潟・福島豪雨により、小国〜坂町の築堤法面崩落発生、終日運転見合せ。翌15日仮復旧作業終了し運転再開。 |
2004(平成16)年7月17日 | 再度、新潟・福島豪雨の影響により羽前椿〜手ノ子にて土砂崩れなど発生、今泉〜坂町で運転見合わせ。翌18日に天候が徐々に回復するにつれ羽前沼沢〜伊佐領などで線路下の路盤流出を発見するなど被害状況が判明、再度羽前椿〜小国運転見合わせ。復旧目途は立たず、同日からバス代行運転。 |
2004(平成16)年7月31日 | 7月17日に発生した「大規模な路盤流出・土砂崩れ」の復旧作業が『連日24時間体制』で進められたため、15日ぶりに全線営業運転再開。 |
2005(平成17)年3月12日 | 羽前沼沢〜手ノ子間で発生した雪崩により、橋桁の一部に亀裂を発見。翌13日から羽前椿〜小国バス代行運転。 |
2005(平成17)年4月11日 | 全線運転再開。 |
2009(平成21)年3月14日 | 車両をキハE120形とキハ110形に統一、ワンマン運転開始。 |
2011(平成23)年3月11日 | 東北地方太平洋沖地震発生により全線にわたり不通。 |
2011(平成23)年3月14日 | 小国〜坂町間運転再開。 |
2011(平成23)年3月20日 | 米沢〜小国間運転再開。 |
2012(平成24)年2月3日 | 今泉〜坂町間が大雪のためこの日から運休。 |
2012(平成24)年2月6日 | 今泉〜小国間運転再開。越後金丸〜越後片貝間で線路脇斜面の土留め壁に亀裂の進行が発見されたため、小国〜坂町間は復旧目途立たず、バスによる代行運転開始。 |
2012(平成24)年3月18日 | 小国〜坂町間運転再開。 |
2013(平成25)年7月23日 | 手ノ子〜羽前沼沢間で大雨による土砂流出のため、羽前椿〜小国間の上下線で運転を見合わせ(バス代行)。 |
2013(平成25)年8月8日 | 全線運転再開。 |