(概要) 陸羽東線(りくうとうせん)は、宮城県遠田郡美里町の小牛田駅から山形県新庄市の新庄駅までを結ぶ東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線(地方交通線)である。「奥の細道湯けむりライン」の愛称が付けられている。 (歴史) 太平洋〜日本海の横断線の1つとして、1892(明治25)年6月21日公布の「鉄道敷設法」に「宮城県下仙台ヨリ山形県下天童若ハ宮城県下石ノ巻ヨリ小牛田ヲ経テ山形県下舟形町ニ至ル鉄道」(現在の仙山線・石巻線・陸羽東線に相当)と規定された。しかし工事はその後も始まらなかった。それでも1913(大正2)年、小牛田側の小牛田〜岩出山間が陸羽線(りくうせん)としてようやく開業したのを皮切りに、1915(大正4)年に鳴子(現在の鳴子温泉)まで延伸。一方反対側の新庄側からも新庄線(しんじょうせん)として新庄〜羽前向町(現在の最上)間が開業した。1917(大正6)年11月1日に鳴子〜羽前向町間が開業して全通。その際新庄線を陸羽線に編入して陸羽東線と改称した。 南新庄駅の南から新庄駅間の約5kmは奥羽本線の線路と並行しているが、これは開業当時からである。しかし太平洋戦争中の1944(昭和19)年には不要不急線として線路が撤去され、奥羽本線と共用する形を取った。戦後の1960(昭和35)年12月20日には原状に復している。地図上では複数路線のように見えるが、奥羽本線が山形新幹線の開業に併せて標準軌に改軌した後は、それぞれ独立した路線となっている。 |
小牛田駅1番線ホーム北側にあるゼロキロポスト |
小牛田駅の青森側にある踏切から撮影した陸羽東線(左)と東北本線(右)の分岐点。 (2017年2月18日(土)撮影) |
南新庄〜新庄間にある奥羽本線(左)と陸羽東線(右)の分岐点。 (2013年10月12日(土)撮影) |
駅名 | 駅間 営業 キロ |
累計 営業 キロ |
所在地 | 開業日 | |||
(漢字表記) | (よみ) | ||||||
小牛田駅 | こごた | - | 0.0 | 宮 城 県 |
遠 田 郡 |
美 里 町 |
1890(明治23)年4月16日 ※東北本線の駅として |
北浦駅 | きたうら | 4.5 | 4.5 | 1914(大正3)年9月13日 | |||
陸前谷地駅 | りくぜんやち | 2.1 | 6.6 | 1960(昭和35)年8月13日 | |||
古川駅 | ふるかわ | 2.8 | 9.4 | 大 崎 市 |
1913(大正2)年4月20日 | ||
塚目駅 | つかのめ | 2.7 | 12.1 | 1960(昭和35)年5月1日 | |||
西古川駅 | にしふるかわ | 3.8 | 15.9 | 1913(大正2)年4月20日 | |||
東大崎駅 | ひがしおおさき | 3.2 | 19.1 | 1955(昭和30)年2月15日 | |||
西大崎駅 | にしおおさき | 2.8 | 21.9 | 1960(昭和35)年5月1日 | |||
岩出山駅 | いわでやま | 2.9 | 24.8 | 1913(大正2)年4月20日 | |||
有備館駅 | ゆうびかん | 1.0 | 25.8 | 1996(平成8)年3月16日 | |||
上野目駅 | かみのめ | 2.8 | 28.6 | 1964(昭和39)年2月1日 | |||
池月駅 | いけづき | 3.8 | 32.4 | 1914(大正3)年4月19日 | |||
川渡温泉駅 ※古レールについて | かわたびおんせん | 6.4 | 38.8 | 1914(大正3)年4月19日 | |||
鳴子御殿湯駅 | なるこごてんゆ | 3.9 | 42.7 | 1952(昭和27)年1月25日 | |||
鳴子温泉駅 | なるこおんせん | 2.2 | 44.9 | 1915(大正4)年4月18日 | |||
中山平温泉駅 | なかやまだいらおんせん | 5.1 | 50.0 | 1917(大正6)年11月1日 | |||
堺田駅 | さかいだ | 5.3 | 55.3 | 山 形 県 |
最 上 郡 |
最 上 町 |
1917(大正6)年11月1日 |
赤倉温泉駅 | あかくらおんせん | 5.8 | 61.1 | 1917(大正6)年11月1日 | |||
立小路駅 | たちこうじ | 1.7 | 62.8 | 1959(昭和34)年7月10日 | |||
最上駅 | もがみ | 2.8 | 65.6 | 1916(大正5)年8月1日 | |||
大堀駅 | おおほり | 3.9 | 69.5 | 1949(昭和24)年2月1日 | |||
鵜杉駅 | うすぎ | 2.0 | 71.5 | 1965(昭和40)年9月1日 | |||
瀬見温泉駅 | せみおんせん | 3.5 | 75.0 | 1915(大正4)年11月1日 | |||
東長沢駅 | ひがしながさわ | 6.0 | 81.0 | 舟 形 町 |
1959(昭和34)年7月10日 | ||
長沢駅 | ながさわ | 1.8 | 82.8 | 1915(大正4)年11月1日 | |||
南新庄駅 | みなみしんじょう | 6.4 | 89.2 | 新 庄 市 |
1960(昭和35)年12月20日 | ||
新庄駅 | しんじょう | 4.9 | 94.1 | 1903(明治36)年6月11日 ※奥羽本線の駅として |
年表 | |
1913(大正2)年4月20日 | 小牛田〜岩出山間 (24.8 km) を陸羽線として新規開業、古川・中新田・岩出山の各駅を新設。 |
1914(大正3)年4月19日 | 岩出山〜川渡間 (14.0 km) を延伸開業、池月・川渡の各駅を新設。 |
1914(大正3)年9月13日 | 北浦駅を新設。 |
1915(大正4)年4月18日 | 川渡〜鳴子間 (6.1km) を延伸開業、鳴子駅を新設。 |
1915(大正4)年6月11日 | 古川駅を陸前古川駅に改称。 |
1915(大正4)年11月1日 | 新庄〜瀬見間 (19.1 km) を新庄線として新規開業、長沢・瀬見の各駅を新設。 |
1916(大正5)年8月1日 | 瀬見〜羽前向町間 (9.4 km) を延伸開業、羽前向町駅を新設。 |
1917(大正6)年11月1日 | 鳴子〜羽前向町間を延伸開業し全通、陸羽線に新庄線を編入して陸羽東線と線名改称、中山平・堺田・富沢の各駅を新設。 |
1927(昭和2)年2月3日 | 瀬見駅付近で、下り701列車に大雪崩が襲来し車両転覆。3名即死。 |
1929(昭和4)年2月13日 | 長沢〜瀬見間で、吹雪のため小牛田行き列車が立ち往生。12時間後に134人が救出される。 |
1944(昭和19)年12月1日 | 鳥越信号場を新設し、鳥越(信)〜新庄 (5.0 km) の線路を撤去し奥羽本線と共用化。 |
1949(昭和24)年2月1日 | 大堀駅を新設。 |
1952(昭和27)年1月25日 | 東鳴子駅を新設。 |
1952(昭和27)年11月15日 | 富沢駅を羽前赤倉駅に改称。 |
1955(昭和30)年2月15日 | 東大崎駅を新設。 |
1957(昭和32)年4月1日 | 中新田駅を西古川駅に改称。 |
1959(昭和34)年7月10日 | 立小路・東長沢の各駅を新設。 |
1960(昭和35)年5月1日 | 塚目・上岩出山の各駅を新設。 |
1960(昭和35)年8月13日 | 陸前谷地駅を新設。 |
1960(昭和35)年12月20日 | 鳥越信号場を廃止し単線並列に復す。南新庄駅を新設。 |
1964(昭和39)年2月1日 | 西岩出山駅を新設。 |
1965(昭和40)年9月1日 | 鵜杉駅を新設。 |
1967(昭和42)年12月12日 | 連査閉塞方式導入。 |
1980(昭和55)年11月1日 | 陸前古川駅を古川駅に改称。 |
1983(昭和58)年3月7日 | CTC導入。 |
1987(昭和62)年4月1日 | 古川〜新庄の貨物営業廃止、国鉄分割民営化に伴い東日本旅客鉄道(全線・第1種)および日本貨物鉄道(小牛田〜古川 (9.3 km)・第2種)が承継。 |
1996(平成8)年3月16日 | 有備館駅を新設。 |
1997(平成9)年3月22日 | 上岩出山駅を西大崎駅に、西岩出山駅を上野目駅に、川渡駅を川渡温泉駅に、東鳴子駅を鳴子御殿湯駅に、鳴子駅を鳴子温泉駅に、中山平駅を中山平温泉駅に改称。 |
1999(平成11)年12月4日 | 公募により決定した「奥の細道湯けむりライン」の愛称を使用開始。羽前赤倉駅を赤倉温泉駅に、羽前向町を最上駅に、瀬見駅を瀬見温泉駅に改称。 |
1999(平成11)年12月20日 | 堺田駅、瀬見温泉駅、長沢駅の交換施設を撤去。 |
2002(平成14)年4月1日 | 日本貨物鉄道が小牛田〜古川の第二種鉄道事業を廃止。 |
2011(平成23)年3月11日 | 東北地方太平洋沖地震発生により全線で不通。4月3日運転再開。 |
2011(平成23)年4月7日 | 東北地方太平洋沖地震の余震発生により全線で再び不通。4月16日運転再開。 |