(概要) 五能線(ごのうせん)は、秋田県能代市の東能代駅と青森県南津軽郡田舎館村の川部駅を結ぶ、東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線(地方交通線)である。 (歴史) 五能線の歴史は、1908(明治41)年に開業した能代(現在の東能代)~能代町(現在の能代)間に始まる。反対運動により能代の市街地を外れる形となってしまった奥羽線に接続するための支線であり、後に能代線(のしろせん)と命名された。 一方、青森県側においても、1918(大正7)年、私鉄の陸奥鉄道(むつてつどう)が奥羽本線に連絡する鉄道を川部~五所川原間に開業した。 日本海沿岸を巡って能代と五所川原を結ぶ鉄道は、旧鉄道敷設法による予定線にあげられ、能代方は能代線の延長として、五所川原方は陸奥鉄道の延長の形で五所川原線(ごしょがわらせん)として建設が進められ、1924(大正13)年から順次延長されていった。昭和大恐慌の影響で、建設が一時スローダウンしたものの、1936(昭和11)年の陸奥岩崎駅~深浦駅間を最後に全通し、五能線と改称された。1927(昭和2)年には、陸奥鉄道が買収・国有化されており、機織駅(現在の東能代駅)~深浦駅~川部駅間が国有鉄道によって運営されることとなった。 |
「五能線起点駅」の看板(東能代駅ホームにて)。 |
奥羽本線(左)と五能線(右)の分岐点。 (東能代駅西側にある踏切より撮影) (2018年11月24日(土)撮影) |
五能線(左)と津軽鉄道(右)の分岐点。 (五所川原駅跨線橋より撮影) (2018年4月14日(土)撮影) |
奥羽本線(左の2線)と五能線(右)の分岐点。 (川部駅南側にある跨線橋より撮影) (2018年4月14日(土)撮影) |
奥羽本線(左の2線)と五能線(右)の分岐点。 (川部駅ホームより望遠撮影) (2018年4月14日(土)撮影) |
駅名 | 駅間 営業 キロ |
累計 営業 キロ |
所在地 | 開業日 | ||
(漢字表記) | (よみ) | |||||
東能代駅 | ひがしのしろ | - | 0.0 | 秋 田 県 |
能代市 | 1901(明治34)年11月1日 ※奥羽本線の駅として |
能代駅 ※古レールについて | のしろ | 3.9 | 3.9 | 1908(明治41)年7月1日 | ||
向能代駅 | むかいのしろ | 2.2 | 6.1 | 1952(昭和27)年1月25日 | ||
北能代駅 | きたのしろ | 3.2 | 9.3 | 1926(大正15)年4月26日 | ||
鳥形駅 ※古レールについて | とりがた | 1.9 | 11.2 | 1960(昭和35)年12月1日 | ||
沢目駅 | さわめ | 2.9 | 14.1 | 山本郡 八峰町 |
1926(大正15)年4月26日 | |
東八森駅 | ひがしはちもり | 3.9 | 18.0 | 1926(大正15)年4月26日 | ||
八森駅 | はちもり | 4.7 | 22.7 | 1926(大正15)年4月26日 | ||
滝ノ間駅 | たきのま | 1.8 | 24.5 | 1963(昭和38)年4月20日 | ||
あきた白神駅 | あきたしらかみ | 1.6 | 26.1 | 1997(平成9)年10月1日 | ||
岩館駅 | いわだて | 3.0 | 29.1 | 1926(大正15)年11月24日 | ||
大間越駅 | おおまごし | 10.8 | 39.9 | 青 森 県 |
西津軽郡 深浦町 |
1930(昭和5)年12月26日 |
白神岳登山口駅 | しらかみだけとざんぐち | 2.4 | 42.3 | 1952(昭和27)年6月1日 | ||
松神駅 | まつかみ | 2.4 | 44.7 | 1932(昭和7)年10月14日 | ||
十二湖駅 | じゅうにこ | 1.9 | 46.6 | 1959(昭和34)年9月15日 | ||
陸奥岩崎駅 | むついわさき | 4.3 | 50.9 | 1932(昭和7)年10月14日 | ||
陸奥沢辺駅 | むつさわべ | 2.7 | 53.6 | 1936(昭和11)年7月30日 | ||
ウェスパ椿山駅 | うぇすぱつばきやま | 2.4 | 56.0 | 2001(平成13)年12月1日 | ||
艫作駅 | へなし | 1.9 | 57.9 | 1936(昭和11)年7月30日 | ||
横磯駅 | よこいそ | 3.5 | 61.4 | 1954(昭和29)年12月25日 | ||
深浦駅 | ふかうら | 5.5 | 66.9 | 1934(昭和9)年12月13日 | ||
広戸駅 | ひろと | 3.9 | 70.8 | 1954(昭和29)年12月25日 | ||
追良瀬駅 | おいらせ | 2.1 | 72.9 | 1934(昭和9)年12月13日 | ||
驫木駅 | とどろき | 3.1 | 76.0 | 1934(昭和9)年12月13日 | ||
風合瀬駅 | かそせ | 3.0 | 79.0 | 1954(昭和29)年11月20日 | ||
大戸瀬駅 | おおどせ | 4.9 | 83.9 | 1933(昭和8)年11月5日 | ||
千畳敷駅 | せんじょうじき | 2.1 | 86.0 | 1954(昭和29)年7月7日 | ||
北金ヶ沢駅 | きたかねがさき | 4.6 | 90.6 | 1931(昭和6)年10月20日 | ||
陸奥柳田駅 | むつやなぎた | 2.7 | 93.3 | 1953(昭和28)年6月1日 | ||
陸奥赤石駅 | むつあかいし | 4.1 | 97.4 | 西津軽郡 鰺ヶ沢町 |
1929(昭和4)年11月26日 | |
鰺ヶ沢駅 | あじがさわ | 6.4 | 103.8 | 1925(大正14)年5月15日 | ||
鳴沢駅 | なるさわ | 4.5 | 108.3 | 1925(大正14)年5月15日 | ||
越水駅 | こしみず | 2.7 | 111.0 | つがる市 | 1954(昭和29)年11月20日 | |
陸奥森田駅 | むつもりた | 3.5 | 114.5 | 1924(大正13)年10月21日 | ||
中田駅 | なかた | 2.4 | 116.9 | 1956(昭和31)年11月30日 | ||
木造駅 | きづくり | 2.6 | 119.5 | 1924(大正13)年10月21日 | ||
五所川原駅 | ごしょがわら | 6.2 | 125.7 | 五所川原市 | 1918(大正7)年9月25日 | |
陸奥鶴田駅 | むつつるだ | 6.0 | 131.7 | 北津軽郡 鶴田町 |
1918(大正7)年9月25日 | |
鶴泊駅 | つるどまり | 2.4 | 134.1 | 1918(大正7)年9月25日 | ||
板柳駅 | いたやなぎ | 4.8 | 138.9 | 北津軽郡 板柳町 |
1918(大正7)年9月25日 | |
林崎駅 | はやしざき | 3.0 | 141.9 | 南津軽郡 藤崎町 |
1935(昭和10)年4月15日 | |
藤崎駅 | ふじさき | 2.8 | 144.7 | 1918(大正7)年9月25日 | ||
川部駅 | かわべ | 2.5 | 147.2 | 南津軽郡 田舎館村 |
1894(明治27)12月1日 ※奥羽本線の駅として |
能代線 | |
1908(明治41)年7月1日 | 官設鉄道が能代(初代)~能代町貨物取扱所を開業、能代町貨物取扱所を新設 |
1908(明治41)年10月15日 | 能代~能代町の旅客営業を開始 |
1909(明治42)年10月12日 | 国有鉄道線路名称制定により能代線とする |
1909(明治42)年11月1日 | 能代(初代)を機織に、能代町を能代(2代)に改称 |
1926(大正15)年4月26日 | 能代~椿を延伸開業、羽後東雲・沢目・八森(初代)・椿の各駅を新設 |
1926(大正15)年11月24日 | 椿~岩館を延伸開業、岩館駅を新設 |
1930(昭和5)年12月26日 | 岩館~大間越を延伸開業、大間越駅を新設 |
1932(昭和7)年10月14日 | 大間越~陸奥岩崎を延伸開業、陸奥岩崎駅を新設 |
陸奥鉄道・五所川原線 | |
1918(大正7)年9月25日 | 陸奥鉄道が川部~五所川原を開業、藤崎・板柳・鶴泊(停留場)・陸奥鶴田・五所川原の各駅を新設 |
1924(大正13)年10月21日 | 五所川原~陸奥森田を五所川原線として開業、木造・陸奥森田の各駅を新設 |
1925(大正14)年5月15日 | 陸奥森田~鰺ヶ沢を延伸開業、鳴沢・鰺ヶ沢の各駅を新設 |
1927(昭和2)年6月1日 | 陸奥鉄道を買収し五所川原線に編入(五所川原線 川部~鰺ヶ沢) |
1929(昭和4)年11月26日 | 鰺ヶ沢~陸奥赤石を延伸開業、陸奥赤石駅を新設 |
1931(昭和6)年10月20日 | 陸奥赤石~北金ヶ沢を延伸開業、北金ヶ沢駅を新設 |
1933(昭和8)年11月5日 | 北金ヶ沢~大戸瀬を延伸開業、大戸瀬駅を新設 |
1934(昭和9)年12月13日 | 大戸瀬~深浦を延伸開業、驫木・追良瀬・深浦の各駅を新設 |
1935(昭和10)年4月15日 | 林崎・掛落林・陸奥亀田・津軽湊の各駅を新設 |
全通後 | |
1936(昭和11)年7月30日 | 陸奥岩崎~深浦を延伸開業し全通、五能線と線名改称、陸奥沢辺・艫作の各駅を新設 |
1940(昭和15)年11月1日 | 掛落林・陸奥亀田・津軽湊の各駅の営業停止 |
1943(昭和18)年6月15日 | 機織を東能代に、羽後東雲を北能代に改称 |
1945(昭和20)年6月10日 | 林崎駅の営業を休止 |
1946(昭和21)年6月10日 | 林崎駅の営業を再開 |
1949(昭和24)年4月1日? | 横磯・風合瀬の各仮乗降場を新設 |
1951(昭和26)年2月1日? | 向能代仮乗降場を新設 |
1952(昭和27)年1月25日 | 向能代仮乗降場を駅に変更 |
1952(昭和27)年6月1日 | 陸奥黒崎駅を新設 |
1953(昭和28)年6月1日 | 陸奥柳田駅を新設 |
1954(昭和29)年7月7日 | 千畳敷仮停車場を新設 |
1954(昭和29)年11月20日 | 越水駅を新設、風合瀬仮乗降場を駅に改める |
1954(昭和29)年12月25日 | 広戸駅を新設、横磯仮乗降場を駅に改める |
1956(昭和31)年11月30日 | 中田駅を新設 |
1957(昭和32)年3月30日 | 気動車での運転開始 |
1959(昭和34)年9月15日 | 十二湖仮停車場を新設 |
1959(昭和34)年10月1日 | 八森(初代)を東八森に改称 |
1959(昭和34)年11月1日 | 椿→八森(2代)に改称 |
1960(昭和35)年12月1日 | 鳥形駅を新設 |
1963(昭和38)年4月20日 | 滝ノ間駅を新設 |
1969(昭和44)年10月1日 | 十二湖・千畳敷の各仮停車場を臨時乗降場に改める |
1971(昭和46)年10月1日 | 五能線管理所を廃止 |
1972(昭和47)年12月2日 | 広戸~追良瀬間において、豪雨および波浪により道床が流失し線路が宙づりになっていたところへ、下り一番列車が差し掛かり機関車が海中へ転落する事故を起こす、機関士1名が殉職、これに伴い広戸~鰺ヶ沢間不通 |
1972(昭和47)年12月20日 | 北金ヶ沢~鰺ヶ沢部分復旧 |
1973(昭和48)年2月5日 | 追良瀬~北金ヶ沢部分復旧 |
1973(昭和48)年3月19日 | 広戸~追良瀬復旧 |
1983(昭和58)年3月2日 | 東能代~五所川原の貨物営業を廃止 |
1984(昭和59)年2月1日 | 五所川原~川部の貨物営業を廃止、これにより国鉄最後の混合列車が廃止 |
1986(昭和61)年11月1日 | 特殊自動閉塞(電子閉塞)・CTC化。これにより主要駅(一部駅除く)以外の列車交換設備廃止・撤去 |
1987(昭和62)年4月1日 | 国鉄分割民営化により東日本旅客鉄道が承継(第1種)、十二湖・千畳敷の各臨時乗降場を臨時駅に改める |
1987(昭和62)年10月1日 | 千畳敷臨時駅を駅に改める |
1988(昭和63)年2月1日 | 十二湖臨時駅を駅に改める |
1989(平成元)年3月11日 | 東能代~能代間ワンマン運転開始 |
1989(平成元)年12月1日 | 五所川原駅に「五能線営業所」を設置(深浦・鰺ヶ沢・五所川原・板柳駅を統括) |
1990(平成2)年4月21日 | 「ノスタルジックビュートレイン」運転開始 |
1993(平成5)年5月22日 | 「夢空間」運転 |
1997(平成9)年4月1日 | 「リゾートしらかみ」運転開始 |
1997(平成9)年10月1日 | あきた白神駅を新設 |
2000(平成12)年頃 | 「五能線営業所」廃止、津軽地区(弘前駅)へ編入 |
2000(平成12)年12月2日 | 陸奥黒崎を白神岳登山口に改称 |
2001(平成13)年12月1日 | ウェスパ椿山駅を新設 |
2003(平成15)年4月1日 | 「リゾートしらかみ」橅(ブナ)編成運行開始 |
2006(平成18)年3月18日 | 「リゾートしらかみ」にくまげら編成投入、3往復の運行となる |
2010(平成22)年12月4日 | 「リゾートしらかみ」青池編成としてハイブリッド気動車HB-E300系が投入される |
2014(平成26)年3月15日 | 快速「深浦」が廃止。 |
2014(平成26)年8月6日 | 5日からの大雨の影響で、岩館~大間越間の第2板貝トンネル付近で路盤の盛り土が流出し、能代~川部間が朝から運休。16時35分に鰺ケ沢~川部間が運転再開。 |
2014(平成26)年8月7日 | 能代~岩館間、深浦~鰺ケ沢間が運転再開。 |
2014(平成26)年8月8日 | 岩館~深浦・鰺ケ沢間でバス代行輸送開始。 |
2014(平成26)年8月30日 | 岩館~深浦間が運転再開し全線で運転再開。 |
2016(平成28)年7月16日 | 「リゾートしらかみ」橅(ブナ)編成としてハイブリッド気動車HB-E300系が投入される。 |
2020(令和2)年12月9日 | 同日から2021(令和3)年3月18日まで、木製マクラギをコンクリート製マクラギに交換する設備強化工事などの実施に伴い、この期間内の特定の31日間のみ一部列車が運休。 |
2020(令和2)年12月12日 | GV-E400系が営業運転を開始。 |
2021(令和3)年3月13日 | 同日実施のダイヤ改正に伴い、キハ40・48形気動車が12日限りで定期運用終了。 |
2021(令和3)年4月25日 | キハ40・48形気動車による団体臨時列車を秋田駅~能代駅間に運転。 |
2022(令和4)年8月9日 | 大雨の影響により、能代~弘前間が運休となり、「リゾートしらかみ」については、同日から当面、全列車が運休となる。 |
2022(令和4)年8月13日 | 同日午後から、五所川原~弘前間、能代~岩館間で運転再開。ただし、両区間とも当面は間引き運行となる。なお、五所川原~鰺ケ沢間については、『(8月17日時点で)1週間ほどで復旧する見通し』とJR東日本が表明。 |
2022(令和4)年8月22日 | 五所川原~鰺ケ沢間で運転再開。ただし、同区間は、当面上りに関しては朝夕のみの運行となるほか、午前の鰺ケ沢発弘前行き下り列車1本も当面運休となる。同日から、「リゾートしらかみ」の1・2号が、青森~鰺ケ沢間で運転再開。 |
2022(令和4)年9月28日 | JR東日本秋田支社は、岩館~深浦間について、『(2022年の)年内中に復旧する』方針を示した一方、深浦~鰺ケ沢間については、『復旧の見通しは立っていない』と表明。 |
2022(令和4)年10月31日 | JR東日本秋田支社が『岩館~深浦間は12月前半の運転再開を目指す』と発表。 |
2022(令和4)年11月24日 | JR東日本秋田支社が 『岩館~深浦間は12月9日に運転再開する』と発表。 |
2022(令和4)年12月8日 | JR東日本秋田支社が深浦~鰺ケ沢間について 『12月23日(金)頃からの運転再開を予定』と発表。 |
2022(令和4)年12月9日 | 岩館~深浦間が運転再開。 |
2022(令和4)年12月23日 | 深浦~鰺ケ沢間が運転再開、全線で復旧。 |
2023(令和5)年7月15日 | 大雨の影響により、東能代~鰺ケ沢間が終日運休。 |
2023(令和5)年7月18日 | 深浦~鰺ケ沢間が運転再開。 |
2023(令和5)年7月19日 | 東能代~能代間が運転再開。 |
2023(令和5)年7月23日 | 東能代~深浦間でバス代行輸送開始。 |
2023(令和5)年8月11日 | 能代~深浦間が運転再開、全線で復旧。 |